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第12章(7)ギャランside
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しおりを挟むそして、あれからもう38年ーー。
ワシも年を取り、シュウもいい大人になった。
シュウは、ユメに似て優しくて賢い。けれど、ワシに似て少し弱いところがあった。
それでも、たくさんの仲間や暖かい家族に恵まれて毎日を生きている。
夢の配達人は、ワシの想像以上に大きく立派になった。
親を亡くした孤児を引き取ったり、一度夢を失ったり、道を踏み外した者に声をかけ、焦らず、少しずつ、ゆっくりと築き上げた。
「……見ていてくれているじゃろうか?ユメとノイは」
ワシにとって、夢と未来をくれた大切な二人ーー。
そんな二人にワシが出来る事を、自分なりに考えて生きてきた時間でもあった。
ユメへは、シュウと共にある時間で……。
シュウの、1番愛おしい人と結ばれるという夢は叶えてやれんかったが、ユメの分まで一緒に居て、今でもその日々の成長を思い出せる程に一瞬一瞬を大切に見てきた。
いずれこの世を去り、もしもユメに会えたら全てを話してやれるように。
ーーそして、ノイ。
一緒に居た時間は僅か数ヶ月という短い期間の中でワシの心にも日常にも大きな変化をもたらせてくれた人物だが、よくよく考えれば彼の事をワシは知らな過ぎた。
新たな再出発を始めようとした際に、シュウを連れてノイの元を訪れようとしたが……。その時すでに彼は職場も辞め、当時の仕事仲間達にも何処へ行くのか告げてはいなかった。
住んでいると言っていた町にも姿はなく、引っ越したのか……。はたまた、もしかしたら初めから偽りの住処だったのかも知れなかった。
けれど、不思議と”裏切られた”とは微塵も感じず”きっと何か事情があるのだ”、”彼とはまたきっと何処かで会える”と思った。
ノイがワシに言ったいくつかの願い。
『いつか、僕の子供をギャランさんの何でも屋さんに入れてあげて下さい!』
「一緒に何でも屋をやらないか?」と誘ったワシに、申し訳なさそうに断った後、彼はそう言った。
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