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第10章(3)ジャナフside
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しおりを挟む一件落着、だよねーー?
蓮葉様とレノアーノ様が攫われた騒ぎなんて嘘のように、村はすっかり楽しそうに賑わっていた。
そのお祭りのような騒ぎの、笑顔溢れる村人の中心に居るのは蓮葉様。アメフラシの儀式を見事に成功させた彼女は、今ではもう人気者だ。
ボクも、観たかったなぁ~。
儀式が行われたのは、ボクが傷付いたセトさんを運んで手当をしていた最中の事。残念ながら観る事が出来なかった。
「……ジャナフ」
「!……ツバサ!」
儀式を観られた人が羨ましいなぁ~ってボクが見つめていると、声を掛けてくれたのはツバサ。嬉しくて、ボクは思わず笑顔になってしまった。
けど、一方のツバサは少し俯いて、何だか気まずそうな表情。左目には、再び眼帯をしていた。
「セトさんなら、大丈夫だよ。
村の人に手伝ってもらってしっかり手当てしたし、血はもう止まってる。今はまだ眠ってるけど、きっとすぐに目を覚ますと思う」
「……。そうか、ありがとう」
ボクがセトさんの様子について話すと、ほんの少しだけどホッとした表情に見えた。
よかった、すっかり気持ちが落ち着いてるみたいだ。
そう思ってボクも一安心した。
でも、どうしてもツバサに話しておきたい事があったボクは、勇気を出して話を切り出す。
「ね、ツバサ。少しだけ、一緒にその辺りを散歩しない?」
「!……え?」
「ボクね、ツバサに話したい事があるんだ」
なるべく明るい声で、笑顔でそう言ったけど、実は心臓は痛いくらいにバクバクだった。
微笑みながら返事を待つボクに、ツバサは少し困った表情で「分かった」って言った。もしかしたら、ツバサはさっきの事や瞳の事を聞かれると思っていたのかも知れない。
確かに、その話もしたいよ。聞きたい。
けど、その前に話さなきゃ。
ボクの秘密を、先に話さなきゃいけないーー。
そう決意を決めて、ボクはツバサと歩き出した。
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