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第10章(2)レノアside
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しおりを挟む「レノアーノ様!!」
「!っ、レベッカ……!」
「っ?これは……一体?」
その後。
騒ぎが起きてすぐに動いてくれていたレベッカが駆け付けてくれて、私達は怪我もなく無事に救出された。
村へ戻る途中、狼を引き連れたツバサに会った。
眼帯が外れて、虹彩異色症の瞳を隠さないありのままの彼を、私は久々に見た。
何か一悶着あったかのような汚れた服装と、どこか浮かない表情が気になって声を掛けたかったけど……。
「……遅れて申し訳ありませんでした、蓮葉様」
「なに。無事だったのじゃ、問題ない!」
私とは一瞬目を合わせただけで、ツバサはすぐに蓮葉様の元へと駆け寄り、跪いていた。
夢の配達人としての、仕事をしているツバサに、私は声を掛ける事が出来なかった。
今はただ、彼を信じて見守ろうーー。
私はそう心に決めて、みんなと一緒に村へと戻ったのだった。
……
…………そして。
「只今より、アメフラシの儀式を行う!」
まだ朝陽が昇っていない、薄暗い早朝。
村に到着すると同時にそう言った蓮葉様に、私達も、村長を始めとする村人全員が驚いた。
今回の事できっと村人達は何らかのお咎めを受けると思っていたのだろう。
蓮葉様のお言葉にみんな動揺して、「本当に村を救ってくれるのか?」「もしかしたら不思議な能力で、私達に復讐をするんじゃ……」とか、そんな事を口にしてザワザワとしていた。
村人達の本音を目の当たりにして、私の中にも様々な想いが巡り……。こんな状況の中で儀式をしようとしている蓮葉様がとても心配になった。
けれど、蓮葉様は私達よりも一歩前に出て、背を向けた状態でツバサに言った。
「……ツバサ、知っておるか?蓮の花はな、汚れた水の中程その美しさを増し、強く、強く咲くんじゃ」
その言葉に、私の隣に居たツバサの表情が変わる。さっきまでの心配そうな表情から、まるで長い眠りから醒めたかのような表情に……。
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