片翼を君にあげる②

☆リサーナ☆

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第10章(2)レノアside

2-1

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形勢が、一気に逆転したーー。

目の前の信じられない光景に、私はただただ呆然と見つめる事しか出来なかった。

それは、ほんの数分前の事。
私達が捕らえられていた牢に賊達があやしい笑みを浮かべながら近付いてきて、心の中で「誰か助けて!」と叫んだ直後だった。
蓮葉レンハ様は「楽しませてやろう」と口にして賊から剣を奪い、その可愛らしい見た目からはとても想像の出来ない身のこなしと剣裁きで……。あっという間に、賊達を倒してしまったのだ。

「……なんじゃ、口程にもない。瞬空シュンクウの足元にも及ばぬ雑魚ザコじゃな」

蓮葉レンハ様は地面に倒れた賊達を見渡しながら、溜め息を吐くような口調でそう言った。
その様子をただただ見つめていると視線が重なって、蓮葉レンハ様は私に八重歯を見せながらニッと微笑った。その笑顔で、私はようやくハッと我に返る。

蓮葉レンハ様、すごい……」

「何もじゃ!これくらい、大した事はない」

「……っ、あの、この人達は……」

「安心せい、峰打みねちじゃ。切ってはおらぬ」

その言葉と、自分達が助かった事に私はものすごくホッとした表情をしてしまった。
すると、そんな私を見た蓮葉レンハ様がクスリと笑う。

其方そなたも、変わっておるのぅ」

「え?」

「自分を攫った奴等じゃぞ?それなのに、そんな者達の身を案じるとは……。ほんに、変わっておる」

そう言われて、私もクスリと笑って思った言葉を返す。

「それは、お互い様です!
蓮葉レンハ様だって、この人達を切らなかったでしょう?」

とてもとても優しくて、本当に心が綺麗な人ーー。

そんな方と知り合えて、そんな素敵な女性が自分の好きな人ツバサを好きと言ってくれた事がとても嬉しくて、私は微笑った。
そしたら、蓮葉レンハ様もおかしそうに「それもそうじゃな!」って言ってくれて、私達は顔を見合わせて笑い合った。
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