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第10章(1)レンハside
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しおりを挟む参ったのーー……。
村から攫われて、道中目隠しをされて連れて来られたのは洞窟のような場所に設置された牢屋だった。
アッシュトゥーナ家の令嬢であるレノアーノ様のご好意でせっかく暖かい床に着けたと思っていたのに、まさかのこの展開。
あの村人達にとって自分が望まれていないとは分かってはいたが、ここまでされるとはやはり少々悲しいものだった。
しかし、落ち込んでいる訳にもいかぬな……。
幸い、ここに着いてからは目隠しは外され、手足は拘束されず、さるぐつわもはめられていない。この空間だけではあるが、自由に動き回る事は出来た。
気を持ち直して、何とか抜け出せる方法はないかと探ってみる。が、当然、牢の入り口は頑丈な錠前で閉められており、鍵がなければ不可能だった。
仕方ないの。時を待つか……。
そう思って入り口から離れふと目をやると、壁を背もたれにしながら地面に座り込み、俯いているレノアーノ様が目に映った。その表情は青ざめて、とても不安気だ。
「大丈夫かの?レノアーノ様」
「!っ……、は、はい」
わしが声を掛けると顔を上げて、レノアーノ様は精一杯の笑顔を作っていたが小刻みに震えていた。
無理もない。誰だってこんな状況になれば、不安になるものなのだろうと思った。
歩み寄り、寄り添う様に隣に座って話し始める。
「先程村では村長達を庇い、ずいぶんと気丈だったのにのぅ。とても同じ人物とは思えんわい」
「っ、す、すみません……」
「大丈夫じゃ、時が来れば出られる」
「!……え?」
わしが笑顔でそう言うと、レノアーノ様は驚いた表情をして言った。
「蓮葉様は、すごい……ですね」
「ん?」
「あ、いえ……ごめんなさい。ずいぶんと、落ち着いていらっしゃるように見えるので……」
落ち着いているように見える、かーー……。
そう言われて、思わずクスリッと笑いが込み上げる。自分の事を話すのは苦手だったが、わしは何故か口を開いた。
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