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第9章(3)ジャナフside
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しおりを挟むその事態に一気に心が冷えて、身体が震える。
う、嘘……でしょ?
ボクを庇ってーー……。
「っ……ツバ、サ?……っ、ツバサ!!」
ツバサが自分を庇ってケガをしてしまった。何とかしなきゃ、と焦る気持ちを必死に抑えながらポケットからハンカチを出して、ツバサが顔面を押さえている手にそっと手を添えて止血しようと思った。
でも、こちらに歩み寄って来る人の気配にボクがバッと顔を向けると……。獣達を従えたセトさんが、ゆっくりボク達の方に足を進めて来ていた。
ボクは立ち上がって庇うようにツバサの前に立つと、セトさんを見つめて言った。
「っ、セトさんっ……。何で、っ……何で!こんな事するんですかっ?」
「……」
ボクと目の合ったセトさんは、少し距離を置いたまま止まった。けど、何も答えてくれない。
ボクは言葉を続けた。
「ボク、チラッとだけどツバサから聞きました!セトさんとは同期で、切磋琢磨し合った仲間だ、って……」
「……」
「それなのに、なんでっ?もしかして、これが……セトさんの下剋上なんですかっ?」
それはあり得ない、と分かりながらも問い掛けた。
何故なら下剋上を行う前には、最高責任者もしくは、その補佐であるノゾミさんに事前に申請する必要があるからだ。
仲間同士の争いを避ける為、夢の配達人同士が傷つけ合う事を避ける為。危険性のある物事は、前もって最高責任者かノゾミさんに許可を得る必要があり、そしてその伝達は必ず相手に……。つまり、今回ならばツバサに連絡が届いている筈だった。
しかし、この状況を見る限り、ツバサはおそらく何も知らない。と、言う事は……。
「ーーハハハッ!下剋上?
……まさか、そんな訳ないだろ?」
その言葉に、やっぱり、と思うと同時に……。下剋上だったのなら、どんなに良かっただろう、と思った。何かの間違いで、ツバサに伝達が入っていなかっただけなら、それに越した事はきっとなかった。
でも、セトさんは最悪の答えを告げる。
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