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第9章(3)ジャナフside
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しおりを挟む「っ……!?」
鋭い眼光に怯んでしまい足が止まる。
しかし、それとは反対に、獣達はツバサからボクに標的を切り替えたように唸り声を上げながらゆっくりと歩み寄ってくる。
っ……どうし、よう。
戦える、の?……ボクに、出来るの?
後退りしたくなり震える脚。震える身体を必死に堪えながら、ボクは蓮華国から護身用に渡されていた短剣の柄に手を掛けた。
ツバサやノゾミさんに何回も訓練してもらったけど、いきなりの実戦。しかも、相手が獣だなんて想像もしていなかった。
ーー……いや。
でも、やらなきゃ……いけない!
逃げるな、逃げるな、と自分に言い聞かせてボクは決意を固めると短剣を抜いて構えた。
それを見ていたツバサが、セトさんに向かって叫ぶ。
「っ……セト!!
セト、頼むッ!!狼達を止めてくれッ……!ジャナフは関係ないだろッ!!」
でも、セトさんは何も答えない。ボクもチラッと横目でセトさんを見ると、彼はとても冷めた目でボクを見ていてゾクッとした。
改めて確信する。
理由は分からないけど、やっぱりセトさんは自分の意志で獣達を嗾けているのだとーー。
馬車の中でセトさんの話をしてくれた時の様子。そしてさっきまで楽しそうに話していた様子からすると、今起きている事態はきっとツバサにとっても予想外だった筈だ。
二人がこうなってしまったのには、絶対に何かそうなるキッカケがあった訳で……。セトさんがツバサに何らかの理由があり、敵意を向けている事は理解出来る。でも、ボクは……。
ツバサを傷付ける人は、許せないーー。
そう思った。
きっと、何かセトさんは誤解してる。ツバサが恨みを買ったりする人間だなんて、ボクにはどうしても考えられなかったんだ。
何とかこの場を収めて、もう一度しっかりと二人で話し合ってほしい。けれど、そんな想いは叶うわけもなく……。獣達はダッと走る脚を早めるとボクの方に駆けてきた。
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