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第9章(3)ジャナフside
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しおりを挟むああ、もう!
何でさっき体力使っちゃったんだろう?!
ツバサと喧嘩別れした後に筋トレやらなんやらをして少々クタクタになっている事を、ボクは心の底から後悔しながら走った。
予想もしていなかった緊急事態。
レノアーノ様と蓮葉様が、まさか賊に攫われてしまうなんて……。
お二人とも、どうか無事でいて下さいッ……!!
そう祈りながら、ボクはツバサの元へ必死に向かう。
幸い、さっき彼が居る場所は確認済み。迷う事なく真っ直ぐに向かう事が出来た。
しかし、…………。
!!ッーー……え?
視線の先に捉えた光景に、ボクは思わず足を止めた。
何故ならツバサが、大きな犬型の獣達に囲まれて身動きが取れない状態になっていたからだ。
これは、一体ーー?
疑問に思ってすぐ、ボクの頭の中にツバサの言葉が浮かぶ。
『彼は獣使いでした。
主には大型犬を従わせて……。そう、まるで猟犬や警察犬のように操って狩りをしたり、犯人を捕まえたりする任務が得意でした』
まさか、この獣達はセトさんの……?
半信半疑だったが、ツバサから少し視線を逸らすと、獣達の円の外に居るセトさんが映る。
笑っているのに鋭い目付きで……。そう、まるで獣達と同じ目付きでツバサを見つめている。
その表情を見て、ボクは確信した。
セトさんがツバサを攻撃しているのだ、とーー。
「っ……ツバサーーーーーッ!!!!!」
どうしてこんな事態になっているのか分からない。でも、
ツバサが危ないーー。
そう思ったら、ボクは咄嗟に名前を呼びながら彼の元に駆け出していた。
護れる力なんてない。どうすればいいか、なんて分からない。
けど、ただただ、ツバサの元に行かなきゃ、って思ったんだ。
「!っ、ジャナフ……ッ?!
馬鹿ッ……こっちに来んなっ!!」
ボクに気付いたツバサが血相を変えて叫ぶ。
すると、それとほぼ同時にツバサを取り囲んでいた獣達が一斉にボクの方へ視線を向けた。
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