片翼を君にあげる②

☆リサーナ☆

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第9章(2)ツバサside

2-5

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俺は本当に自分の事ばかりで、相手セトの気持ちなんて考えないで……。自分が謝りたいから、自分がお礼を言いたいから、言葉を紡いでいただけなんだ。
ここ最近、自分の中でくすぶっている感情。そのせいで大切な人を傷付けた汚い自分を、セトに謝る事で許されたいと思っていたんだ。

「あ、そうだ!
サリウス王子との件で力を貸してくれて、本当にありが……」

「ーーもういいよ」

「!……え?」

そんな、相手とすれ違ったスカスカの言葉が届く訳ないとも……。
自分とも人とも向き合ってこなかった"これまでの俺の結果"が招いた結末がどんなものなのかも、知らなかったんだ。

もういいよーー。

セトが言ったその言葉の本当の意味にすら、俺はこの時すぐには気付けない。

「もう、いい」

「セト?」

「すんだ事だからな。……もう、いい」

自分の都合の良いように解釈して、彼の「もういい」を、分かってくれたんだ、と……。許してくれたんだ、と思ってたんだ。

だから、俺は微笑った。

「っ、セト……。ありがとう!」

笑顔でお礼を言って、勝手に少しだけ救われた気になっていた。
そして、これからセトともまた仲良くやっていけると……思ってたんだ。

もう、俺とセトが繋がる人生みちは決まっていたと言うのにーー……。


ズボンのポケットに入れていたポケ電が「ヴヴッ」と震える。それは、見張りの交代をする為に2時間間隔で設定していたアラーム。

「!……あ。
セト、ごめん。今任務中なんだ、そろそろ戻らないと」

ポケ電のアラームを止めて再びポケットにしまうと、俺はもう一度微笑って言った。

「会えて嬉しかったよ、ありがとう!
良かったら、任務が終わったらまた会おう」

そう言って、背を向けて駆け出そうとした時だった。

「……"また"、なんてないよ。ツバサ」

ッーー……え、っ?

背後から聞こえるセトの声と同時に、辺りから「グルルルルッ……」と言う獣の……。犬科の動物の唸り声が聞こえた。
思わず足を止めると、いつの間にこんなに集まって来ていたのだろうか?数匹の狼達が四方八方から歩み寄って来ていた。
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