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第8章(3)ツバサside
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しおりを挟む子供は純粋だから、初めは俺が「ズルしてる!」って事から始まった。
喧嘩になって、揉み合って、言い合って……。そしたら、どんどんどんどん、みんなが俺に対して想っている事が聞こえてきた。
左右で瞳の色が違う事を不気味がられ。
孤立して、動物や植物を相手に話している様子を見られて不気味がられ……。
「ツバサ君、様子がおかしいんですよ?
一度こちらに受診する事をおすすめします」
保育所の先生が、母さんにそう言ってある書類を差し出してた。
今なら、分かる。それは精神科の病院の書類。
「必要ありません」って断る母さんに、先生は更にこう言った。
「ご家庭に何か問題があるんじゃないですか?」
そう言われた母さんは一瞬表情を変えたけど、すぐに微笑って、「本日で、息子をここに預けるのは辞めさせて頂きます」って、俺の手を優しく引いてくれて……。
帰宅途中、「夕飯何が食べたい?」とか、「帰ったら何の絵本読む?」とか……。楽しい話ばかりして、微笑ってくれた。
俺には、分かるのに……。
笑顔の裏で、母さんは泣いていた。
俺が異様な目で見られた事に悲しみ、悔しがりながらも、俺の為に微笑ってくれていた。
……もう、俺の事で悲しませたりしない。
他人の前で能力の事は言っちゃいけないんだ。隠さなきゃいけないんだ。
俺は、おかしいんだーー。
保育所に行けなくなった俺は、次の日から社長業をする父さんとずっと一緒に居るようになった。なるべく在宅で出来る事や、俺を連れてでも出来る仕事を選んでくれて、時々出張のついでに人が少ない自然の溢れる場所に連れて行ってくれた。
父さんと居るのが、1番楽だった。
父さんは俺と二人きりになると、率先して自分の能力を見せてくれた。
そして、俺と似た不思議な能力を持つ人達と交流させてくれたりした。
俺がなるべく自然に過ごせるように、してくれていたんだと思う。
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