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第8章(2)ジャナフside
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しおりを挟む「!……美味しい~~~!!」
「!……なんじゃコレ!美味いの~!!」
野菜スープを一口飲んで、ボクと蓮葉様は同時に言った。
「水はなるべく飲み水に取っておこう」って言うツバサの提案で、お水を使ったのはお米を炊く為に最小限使っただけ。
「じゃあ、どうやってスープ作るの?」って言ったら、「野菜の水分だけで十分だ」って、スープを作り始めたツバサ。
信じられなかった。絶対にお水なしじゃ、焦げちゃうと思ったもん。
野菜を細かく刻んで、よく炒めて作った無水スープ。
ザラザラした食感は多少残ってるけど、それがまた野菜の旨味って言うか……。とにかく美味しい。
「そっか?口に合って良かった。
あ、味薄かったら塩足してくれよな?」
「全然!十分美味しいよ!」
「うむ。素材の味が良く出とる、十分じゃ!」
「……そっか。良かった」
料理は出来るけど味付けに自信がない、って言ったツバサに付いて味見をしたのはボク。
でも、全然そんな事ない。むしろ、野菜だけの旨味でこんなに美味しいなんて新発見だった。
お付きの人達も一緒に食事を済ませ、なんと蓮葉様は後片付けまで手伝うと言い出した。
ツバサが急に口調や接し方を友達みたいに変えたのはビックリだったけど、楽しそうな蓮葉様の様子を見るとそれは正解なんだと思う。
目の当たりにした、特殊な能力を持った蓮葉様への村人達の態度。
驚いた。何処の国でも、やっぱり差別はまだあるんだって……。
そんな蓮葉様の傍に付いて、誰よりも寄り添うツバサ。彼の今の任務は、彼女を護る事だからそれが間違っているとは思わない。
……けど。
ボクはレノアーノ様の事が気になって仕方なかった。
噂や雑誌の評判通り、見た目も綺麗でこんなボクにも微笑みながら挨拶してくれた優しい女性。本当に、女神みたいだった。
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