片翼を君にあげる②

☆リサーナ☆

文字の大きさ
上 下
173 / 231
第8章(2)ジャナフside

2-1

しおりを挟む

「!……美味しい~~~!!」
「!……なんじゃコレ!美味いの~!!」

野菜スープを一口飲んで、ボクと蓮葉レンハ様は同時に言った。

「水はなるべく飲み水に取っておこう」って言うツバサの提案で、お水を使ったのはお米を炊く為に最小限使っただけ。
「じゃあ、どうやってスープ作るの?」って言ったら、「野菜の水分だけで十分だ」って、スープを作り始めたツバサ。
信じられなかった。絶対にお水なしじゃ、焦げちゃうと思ったもん。

野菜を細かく刻んで、よく炒めて作った無水スープ。
ザラザラした食感は多少残ってるけど、それがまた野菜の旨味って言うか……。とにかく美味しい。

「そっか?口に合って良かった。
あ、味薄かったら塩足してくれよな?」

「全然!十分美味しいよ!」

「うむ。素材の味が良く出とる、十分じゃ!」

「……そっか。良かった」

料理は出来るけど味付けに自信がない、って言ったツバサに付いて味見をしたのはボク。
でも、全然そんな事ない。むしろ、野菜だけの旨味でこんなに美味しいなんて新発見だった。


お付きの人達も一緒に食事を済ませ、なんと蓮葉レンハ様は後片付けまで手伝うと言い出した。
ツバサが急に口調や接し方を友達みたいに変えたのはビックリだったけど、楽しそうな蓮葉レンハ様の様子を見るとそれは正解なんだと思う。

目の当たりにした、特殊な能力ちからを持った蓮葉レンハ様への村人達の態度。
驚いた。何処の国でも、やっぱり差別はまだあるんだって……。
そんな蓮葉レンハ様の傍に付いて、誰よりも寄り添うツバサ。彼の今の任務は、彼女を護る事だからそれが間違っているとは思わない。

……けど。
ボクはレノアーノ様の事が気になって仕方なかった。
噂や雑誌の評判通り、見た目も綺麗でこんなボクにも微笑みながら挨拶してくれた優しい女性。本当に、女神みたいだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

【完結】クビだと言われ、実家に帰らないといけないの?と思っていたけれどどうにかなりそうです。

まりぃべる
ファンタジー
「お前はクビだ!今すぐ出て行け!!」 そう、第二王子に言われました。 そんな…せっかく王宮の侍女の仕事にありつけたのに…! でも王宮の庭園で、出会った人に連れてこられた先で、どうにかなりそうです!? ☆★☆★ 全33話です。出来上がってますので、随時更新していきます。 読んでいただけると嬉しいです。

貧乏男爵家の末っ子が眠り姫になるまでとその後

空月
恋愛
貧乏男爵家の末っ子・アルティアの婚約者は、何故か公爵家嫡男で非の打ち所のない男・キースである。 魔術学院の二年生に進学して少し経った頃、「君と俺とでは釣り合わないと思わないか」と言われる。 そのときは曖昧な笑みで流したアルティアだったが、その数日後、倒れて眠ったままの状態になってしまう。 すると、キースの態度が豹変して……?

パーフェクトアンドロイド

ことは
キャラ文芸
アンドロイドが通うレアリティ学園。この学園の生徒たちは、インフィニティブレイン社の実験的試みによって開発されたアンドロイドだ。 だが俺、伏木真人(ふしぎまひと)は、この学園のアンドロイドたちとは決定的に違う。 俺はインフィニティブレイン社との契約で、モニターとしてこの学園に入学した。他の生徒たちを観察し、定期的に校長に報告することになっている。 レアリティ学園の新入生は100名。 そのうちアンドロイドは99名。 つまり俺は、生身の人間だ。 ▶︎credit 表紙イラスト おーい

俺の部屋が異世界に転移したみたいだ‼

モモん
ファンタジー
俺の家(借家)が世界の狭間に落ちてしまった。 会社に遅刻するじゃねえか! ……ある日、扉を開けると森が広がっていた。 ネコのクロウとサクラを連れた俺の異世界ライフが始まる。 いや、始めちゃダメだ。会社に行かないと……

【完結】僕は君を思い出すことができない

朱村びすりん
青春
「久しぶり!」  高校の入学式当日。隣の席に座る見知らぬ女子に、突然声をかけられた。  どうして君は、僕のことを覚えているの……?  心の中で、たしかに残り続ける幼い頃の思い出。君たちと交わした、大切な約束。海のような、美しいメロディ。  思い出を取り戻すのか。生きることを選ぶのか。迷う必要なんてないはずなのに。  僕はその答えに、悩んでしまっていた── 「いま」を懸命に生きる、少年少女の青春ストーリー。 ■素敵なイラストはみつ葉さまにかいていただきました! ありがとうございます!

処理中です...