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第7章(3)ツバサside
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しおりを挟むそれに、蓮葉様が言われた通り現在のドルゴアは昔と違って白人が権力を握っており、王族や貴族でジャナフのように小麦色の肌をした人間は少なくなってきている。
だから最初は、普通の平民の出かと思っていたけど……。
『親父は優しくしてくれるけど、ボクだけ母親が違うってのもあって兄貴達とはなんか~……距離感じるんだよね』
ジャナフは兄達と母親が違う、と言っていた。後妻、と言う可能性もあるが、口調からしてそうとは思えなかった。いわゆる彼は、妾が生んだ子供。
ドルゴアがいくら一夫多妻制とは言え、それは勿論それだけ妻を娶る事が出来、家族を養える財力や身分があるからだ。つまり、商いで成功を収めた商人か、王族や貴族に仕えている、繋がりがある家系。もしくはそれ以上の家柄……、……。
蓮葉様は平民にとって王族の命は絶対と言ったが、見方を変えれば違う。むしろ、王族に繋がりがある者こそ尚更サリウス王子の命は絶対だ。
裏切ればそれは一族の罪となり、どんな咎めを受けるかは目に見えている。
……。
おそらく漆黒の瞳の能力を使ってジャナフの心を覗けば、すぐに答えは出る。
でも、俺はーー……。
「疑う位なら、騙された方がマシです」
「!……何じゃと?」
俺の返答に、蓮葉様は驚いていた。
遠くに居るジャナフを見つめながら、言葉を続ける。
「何度も何度も、あの笑顔に救われた。一緒に居て、楽しいと思わせてもらった。
だから、例えそれが仕組まれた偽りの時間だったとしても俺は構わない」
出会って、一緒に過ごして、色んな出来事を重ねて……。もうジャナフは俺にとって大切な人の一人。
出会わなければ良かった、なんて思えない。
……そう。人間離れした、本当の自分を知られたら嫌われてしまうのでは?と、恐る程に……、……。
「……甘い考えじゃの。
瞬空ならば、ジャナフが少しでも怪しい動きをすればすぐに処断する」
「でしょうね」
そんな風に蓮葉様と真剣な話をしていたのに、視線の先のジャナフが食べ物を頬張り過ぎて喉に詰まらせ「水!お水~!」と慌てているから、俺は思わず「くくっ」と笑ってしまった。
すると、厳しい口調だった蓮葉様の口調も緩む。
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