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第6章(3)ツバサside
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しおりを挟むーーー遥か昔の話。
この世界には、地上にあり人間が住む人間界と空高く天上にある天界が存在しました。
天界に住むのは、様々な神々とそれを中心として生きるたくさんの天使達。
人間界の者と天界の者が関わる事は、禁忌。
しかし、ある時1人の天使が人間界に興味を持ち、天界を抜け、地上へ舞い降りた。
そこで天使が出逢ったのは、美しい歌声を持つ1人の少女。長い黒髪に黒い瞳の娘だった。
『なんて美しいんだ……!!』
天使に勝る歌声。天界の者には絶対にあり得ないその艶やかな漆黒の姿に、天使はあっという間に心を奪われてしまった。
人間と天使が関わる事は……。ましてや、交わる事などあってはならないと分かっていた。
だが、恋に堕ちた天使は、もう引き返す事など出来なかった。
……ーーー。
「っ……この、話って…………」
読み進めて、俺はその内容が自分達一族の"天使の血"についてだと気付いた。
しかもそれは、アラン叔父さんから教えてもらった簡潔な内容とは違っていて……。そう、まるで、この光景を見て、この天使と人間の女性の事も見た事があるような……。そんな感じに描かれているように思えた。
もしかして祖父は、すごい能力の持ち主だったのではないかーー?
そんな思いも過ぎる。
もう少し読み進めていけば、何かもっと深く知る事が出来るかも知れない。そう思った俺が次のページをめくった。
しかし、その瞬間。
《ーーふざけている》
「!っ……え?」
頭の中に、また声がした。
その声には聞き覚えがある。
そう、さっき狸を助けた際に聞こえた、あの声と同じだ。
《ふざけている。っ……ふざけているッ!》
でも、あの時の穏やかな声とは明らかに違う。その声は、次第に怒りを増しながら強く、大きくなっていき俺の頭の中に響く。
《ふざけているッ!!ふざけているッ……!!!
っ……ふざけているッ!!!!!》
「!!ッーー……い、っ……!!!!!」
頭を内から殴られたような衝撃だった。
手から本は滑り落ち、あまりの激痛に頭を押さえる前に俺は気を失ってその場に倒れた。
……
…………。
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