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第5章(4)ジャナフside
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「!……素晴らしい~!!
これぞまさに、私の欲しかったお宝よ~~~!!」
夢の配達人の隠れ家に戻って下剋上相手のシャロンさんに持ち帰ったお宝を渡すと、彼女は目を輝かせて喜んだ。
そのお宝とは、なんとキノコ。
そのキノコは幻の夢見茸って言うらしくて、滅多に採れない高級食材なんだって。
でも、見た目は茶色くてほとんど見た目はシイタケと変わらない。料理通だったりキノコマニアだったりと、知る人ぞ知るレアな代物だそうだ。
ツバサの思った通り水中から別の場所に行ける狭い通路があったらしくて、そこに生えていたのがこの夢見茸。
持ち帰って来た彼にこれを見せられた時、「えっ?これがお宝っ?!」って、ホントにホントに驚いた。
だってボクなら、水晶とこのキノコだったら、間違いなく水晶をお宝だと思って持ち帰ってしまうから……。
ボクはシャロンさんの見た目、自分で感じた第一印象で勝手に彼女という人物がどういう人なのか決め付けていたんだ。
絶対にこの人は、宝石とか好きだろうな、って。
でも、実際の彼女は違って、
『シャロンさんの趣味は色んな国の美味しい物を食べる事なんだ。あの人自身も料理好きでかなりの腕前らしいぜ。
だから、この夢見茸が欲しかったんだろうな!』
ツバサは帰り道で、そう教えてくれた。
隠れ家で再び会ったシャロンさんを見ると、一見オシャレな彼女が手だけは全く飾っていない事に気付く。ネイルは勿論、指輪などの装飾品を着けておらず、それは料理をする人の手。
「よく私のお目当て物が分かったわね!
素晴らしいわ、合格よ!最高責任者には私から報告しておくわ!」
「ありがとうございます!」
……。
どうしよう、天才だーー。
シャロンさんに認められて、握手を交わしながら会話をしているツバサを少し離れた場所から見ていたボクはそう思わずにいられなかった。
勿論、ツバサとボクとじゃ夢の配達人を目指した時期も、経験の長さも、全然違う事は分かってる。
でも、比べ物にならないくらいの、そのものすごい差を改めて実感する。
頭の回転が早くて、冷静に物事を判断出来て、行動力も決断力も度胸もあって……。おまけに人をしっかり見て、その気持ちや心を何よりも考える優しさ。
優しさを武器に出来る彼は、まさに自分が憧れて思い描いていた夢の配達人像そのものだった。
キラキラと輝く姿に、ボクは信じて疑わなかった。
このままツバサが躓く事もなく、白金バッジを手にするって……。
……
…………でも。
そう思っていた矢先、まさかの事件が起こる。
「!……素晴らしい~!!
これぞまさに、私の欲しかったお宝よ~~~!!」
夢の配達人の隠れ家に戻って下剋上相手のシャロンさんに持ち帰ったお宝を渡すと、彼女は目を輝かせて喜んだ。
そのお宝とは、なんとキノコ。
そのキノコは幻の夢見茸って言うらしくて、滅多に採れない高級食材なんだって。
でも、見た目は茶色くてほとんど見た目はシイタケと変わらない。料理通だったりキノコマニアだったりと、知る人ぞ知るレアな代物だそうだ。
ツバサの思った通り水中から別の場所に行ける狭い通路があったらしくて、そこに生えていたのがこの夢見茸。
持ち帰って来た彼にこれを見せられた時、「えっ?これがお宝っ?!」って、ホントにホントに驚いた。
だってボクなら、水晶とこのキノコだったら、間違いなく水晶をお宝だと思って持ち帰ってしまうから……。
ボクはシャロンさんの見た目、自分で感じた第一印象で勝手に彼女という人物がどういう人なのか決め付けていたんだ。
絶対にこの人は、宝石とか好きだろうな、って。
でも、実際の彼女は違って、
『シャロンさんの趣味は色んな国の美味しい物を食べる事なんだ。あの人自身も料理好きでかなりの腕前らしいぜ。
だから、この夢見茸が欲しかったんだろうな!』
ツバサは帰り道で、そう教えてくれた。
隠れ家で再び会ったシャロンさんを見ると、一見オシャレな彼女が手だけは全く飾っていない事に気付く。ネイルは勿論、指輪などの装飾品を着けておらず、それは料理をする人の手。
「よく私のお目当て物が分かったわね!
素晴らしいわ、合格よ!最高責任者には私から報告しておくわ!」
「ありがとうございます!」
……。
どうしよう、天才だーー。
シャロンさんに認められて、握手を交わしながら会話をしているツバサを少し離れた場所から見ていたボクはそう思わずにいられなかった。
勿論、ツバサとボクとじゃ夢の配達人を目指した時期も、経験の長さも、全然違う事は分かってる。
でも、比べ物にならないくらいの、そのものすごい差を改めて実感する。
頭の回転が早くて、冷静に物事を判断出来て、行動力も決断力も度胸もあって……。おまけに人をしっかり見て、その気持ちや心を何よりも考える優しさ。
優しさを武器に出来る彼は、まさに自分が憧れて思い描いていた夢の配達人像そのものだった。
キラキラと輝く姿に、ボクは信じて疑わなかった。
このままツバサが躓く事もなく、白金バッジを手にするって……。
……
…………でも。
そう思っていた矢先、まさかの事件が起こる。
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