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第4章(5)ミライside
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しおりを挟むまさかとは思っていたけど、ツバサは本当に人の心が読めるようだった。
誰かに聞いた、とかではなく、一緒に居る時間を過ごすうちに、ツバサの態度や表情、行動を見て確信した。
ツバサが最初僕を見て嫌がっていたのは、おそらくそのせい。
心の中のドス黒い感情を隠して、嘘を吐いて僕が微笑っていたからだろう。
心の中では怖い事を思いながら、表面ではニコニコ笑ってる人がいたら……。そりゃ、ツバサからしたら恐怖以外の何物でもなかったに違いない。
ツバサに初めて会って号泣したその翌日から、僕は夢の配達人としての再出発を切った。
でも、以前のようにハードにせず、無理せず、自分の気の向くままに生きて行こうと思った。
そして、休みの日はほとんどと言う位ツバサに会いに行った。
ツバサにはヴァロンさんのようにゾクゾクさせられたり、ドキドキさせられる事はなかったけど……。一緒に居ると、嘘吐きな自分が洗われる気がして、ほんの少し素直になれた。
「……可愛いね」
些細な行動や仕草を見て僕が思わずそう言うと、ツバサは必ず笑顔を返してくれる。
そっと柔らかい髪に触れるように頭を撫でると、僕の手を捕まえて「おてて、おっきいね!」って、その手に頬を嬉しそうに擦り寄せてくるんだ。
まるで小動物みたいーー。
最初はそう思ってた。
一緒に居ると癒されて、とても穏やかな気持ちで居られた。
そして……。
「おおきくなったら、ゆめのはいたつにんになるー!」
君がそう言った瞬間。
僕の三つ目の夢が生まれたんだ。
必ず白金バッジの夢の配達人になろう。
そして、今度はツバサに僕を超えてもらおうーー。
ツバサが、もう一度僕に夢をくれて、救ってくれた。
……
…………白金バッジになって、ツバサの師匠を任されて、幸せの絶頂だった。
ツバサはヴァロンさんに似ているようで似ていなくて、僕の中ではずっと"可愛い"って思ってた。
ツバサが幼い頃からずっとあったその感情を、特に深く考える事も、おかしいと感じる事もなくて……。
月日が過ぎて……。僕が29歳の時。
任務から隠れ家に戻って来た僕は、ご機嫌だった。
14歳でデビューしたツバサは夢の配達人になって半年が過ぎて、その成績は上々。金バッジ昇格も間近ではないか?と騒がれていた。
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