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第4章(3)ミライside
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しおりを挟む傷がほどほどに癒えて、リハビリして、退院して……。まだ不自由はあるけど、なんとか普通に過ごせるようになった。
けど。
正直、この時の僕はクズだった。
夢の配達人の事を忘れるかのように、これまで勉強になる事以外は触れてこなかった、あらゆる娯楽に手を出した。
「嫌な事忘れるには、女抱くのが1番だって!」
そんな馬鹿な誘いにものって、好きでもない、彼女でもない女性と一夜限りの関係を持ったりもした。
……でも、何も感じない。
気持ちいい?気が紛れる?スッキリする?
ーー何が?
全然、全然、何も忘れられない!満たされない!!
僕が欲しいのはこんなんじゃない!!
僕の心を鷲掴みにしてくれよ。心を震わせてくれよ。
ゾクゾクするような、あの、恐怖に似た快感を僕に与えてくれよッ!!
心の中では、悲鳴を上げていた。
けど、表の自分はビックリする位に冷静で……。笑顔で、体裁や建前を気にしていた。
夢の配達人最高責任者の血縁者として、人に夢を与える立場の関係者である自分が、汚してはならい事を幼い頃から理解していたから……。
笑えるよね?
ボロボロに追い詰められてても、人間って案外、そういう理性は残ってるものなんだよね。
それは=死ねない証。生きている意味も見出せないけど、死ぬ事も出来ない人間が持つ意地みたいなもの。
そう。僕はただ、何となく生きていた。
事故の傷はすっかり癒えて、難しい任務でなければ仕事も復帰出来る状態にはなっていたのに……。最初の一歩を踏み出せない。
予想通り、約一年間仕事が出来なかった結果、僕はどんどん追い抜かれて銀バッジに降格。
金バッジで難しい任務をしていた時でさえ弾む事が少なかった胸が、今更銀バッジレベルの任務にときめく筈もなく……。また、目標もなかった僕は、重い腰をなかなか上げられずにいたんだ。
……その時だった。
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