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第1章(1)ジャナフside
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しおりを挟む「押すの、忘れてた……」
「あ、マジ?
ま、いいや。久々にやったからイマイチな感じだったし、タイム残す程じゃねぇな」
そう言うツバサに、ボクは思わずドキッとした。
朝陽を浴びてキラキラと髪を輝かせる姿がすごく綺麗で……。何というか、性別を超えた天使みたいな美しさを彼の中に見た気がしたんだ。
夢の配達人になるには、特に難しい試験とかはなかった。最高責任者さんが簡単な面接をしてくれて、それに問題ない、と判断されれば誰でも受かるらしい。
『人にはそれぞれ向き不向きがある。
それを、同じ試験を行ったところで差が出るのは当たり前。
要はやる気、気持ちの問題。
何か一つでも自分の誇れるものを作れ。
無理に不得意な依頼を受ける必要はないが、一度引き受けた仕事は責任を持ってやり遂げろ。
依頼人の夢を壊す事だけは絶対にするな。
そして、自分自身も……夢を持て』
それが初代最高責任者であるギャランさんの方針らしく、これと言った特技のないボクでも無事に採用。
でも、国や文化、言葉や生活などの違いからボクはまだ一人で仕事をするには難しいと判断されて、現最高責任者のシュウさんが「知り合いなら丁度いい。ツバサの元で色々学びなさい」って言ってくれたんだ。
以来、夢の配達人の寮でツバサと一緒に寝泊まりして、彼の訓練や勉強、仕事現場を共にしながら日々勉強中。
「さっきのは"パルクール"って言うんだ」
「パル、クール??」
我に返って、「さっきのは何?!」って興奮気味に問い掛けるボクにツバサは説明してくれた。
パルクール。それは移動動作を用いて、人が持つ本来の身体能力を引き出し追求する方法およびスポーツらしい。
ボクの国にはそんなのなくて、まるで昔絵本で見た忍者みたいで……。さっきのツバサの姿を思い出してもワクワクが止まらない。
「ね!それ、ボクにも出来るかな?!」
「へ?」
「パルクール!ボクにも出来るっ?」
あんな風に自分もやれるようになりたい。ツバサみたいになりたい。って思った。
でも、すぐにハッとした。
ーーーお前には無理だよーーー
そう言われるのが、これまで当たり前だったから……。
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