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第6章

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***

それから、3日が過ぎた。
ここは水の国、本城。

あの事件から……。クウォンが敵になった日から、3日。
5歳の時に両親を奪われて、約10年振りに帰ってきたこの水の城。私の本当の、家。

幼い頃の記憶って、身体に染み付いたものって、すごいな。もっと戸惑うものかと思ったけど、驚く位にすぐに私は馴染んで、変わっていない城内の雰囲気は、すごく落ち着くし心地良かった。

私は、やっぱり水の姫。……なんだね。
懐かしい気持ちと同時に、素直にそれを受け入れたくない自分がいた。

……だって、消えないもの。
幼い頃の事を思い出しただけで、炎の国で過ごした日々も、クウォンに恋をした日々も、消えない。

覚悟を決めなくてはいけないのに、私の心は揺れ続けた。
水神の力を受け継いだ私は、筆頭として水の国のみんなを導かなきゃいけない立場なのに……。

クウォンは炎神の力をまだ継承していないのにも関わらず、私の力を遥かに凌いでいた。
砦を手に入れた彼は、きっと態勢が整い次第この水の城を攻め落としに来る筈だ。
私はその時までに、この心の乱れを整理しなくてはいけない。
今のままの私では、水の国のみんなを護るどころか……。道連れに、してしまう。

「……しっかり、しなきゃ」

深夜の自室。
私はどうしても寝付けなくてベッドから起き上がると、城内を散歩する事にした。

幼い頃、父様や母様やヨシュア兄様を追い掛けて駆け回った毎日。
優しい家族と家臣達に囲まれて、幸せだった。

でも、私には……分からない。
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