スノウ２

番外編②風磨side

②-1-4

橘たちばなさんは僕に色んな事を教えてくれた。
自分の研究の事、これからの自分の計画や理想……。それから、自分の大切な人が"ある男"に奪われた事。
そして、その"ある男"に僕の父が唆そそのかされていた事も……。
つまり、僕の父の死の真の原因にもその"ある男"が絡んでいたのだ。

その男の名前は、望月もちづき 三月みづき。
その男は、橘たちばなさんから大切な人を奪っただけではなく、僕の父の命まで奪った。

そして、あろう事か……。その三月みづきの息子は、僕に模擬試験で恥をかかせた男。望月もちづき 紫夕しゆうだった。

親子揃って、鬱陶うっとおしいーー。

紫夕しゆうはその後も、橘たちばなさんにとっても僕にとっても、目の上のタンコブだった。
守護神ガーディアンの隊員のクセに何かと橘たちばなさんに盾突き、計画が上手く回らない時もあったっけな。普段はチャラチャラしたダラシのない男なのに、みんなノリに騙されて……。
そうそう。せっかく僕の仲間にしてやろうと声を掛けてやったのに、やたら紫夕しゆうの肩を持つ赤毛の男が居たから、ムカついて任務に紛れて消してやった事もあった。

その時、橘たちばなさんが言ってくれたんだ。
「危険な事はするな。今はまだ時ではない。
いいか。私は君が心配なんだ」……って。

嬉しかったなぁ。
橘たちばなさんは僕と、僕の未来の心配をしてくれた。
だから、紫夕しゆうが僕よりも先に特殊部隊の隊長になった時も、我慢する事が出来たんだ。

耐えて耐えて。
耐えて耐えて、耐え抜いて……。
何年も何年も、月日が過ぎた。

けれど、運命は動き出した。
僕は見付けたんだ。
橘たちばなさんに昔写真を見せてもらって、一目で目を奪われたあの人によく似た子を……。

真白ましろ 雪ゆきーー。

その子はなんと、僕が一目惚れした人型魔物と橘たちばなさんの子供だった。

欲しい。
欲しい、欲しい……。
欲しい、欲しい、欲しい！あの子が欲しい！！

高まる興奮と欲で、下着を濡らしたのは初めてだった。