スノウ2

☆リサーナ☆

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番外編①紫夕side

①-6-1

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【6】

俺があおいを送ってから自宅に戻ると、玄関には弥夜やよい紫愛シアの靴が綺麗に並べられていた。
それを見て、弥夜やよいが一緒だから、と安心していたが、無事に帰宅している事を確認する事が出来て改めてホッとする。

「にゃー!」と駆け寄って来た紫雪しせつの頭をひと撫ですると、俺も靴を脱ぎ玄関を上がり家の中へ。
しかし、いつもは大体一階の居間に居るはずの人の気配がない。今日は俺が休暇の日だから、マリィはいないのは分かっているが、子供達も居ないのはおかしい。電気すら、点いてない。

まさか、2階かーー……?

紫愛シアは以前1人で2階へ登ってしまった事があったが、降りる時が相当怖かったらしく、降りられなくてギャン泣きした。それ以来、絶対に1人では2階に行かないが、弥夜やよいと一緒ならば行っている可能性があった。
玄関に靴があった以上、家の中に居るのは間違いない。俺は、ゆっくりと2階に上がった。

すると、出掛ける際にはしっかりと閉めた筈の俺の部屋の扉が少し開いていて……。部屋の中から、灯りが漏れているのが目に映る。
そのまま足を進めると、俺が2階に上がってくる気配を察知したのか、開きかけの扉を更に静かに開けて、弥夜やよいが中から顔を覗かせた。
弥夜やよいは目の合った俺に、人差し指を立てて「し~っ」とすると、もう片手で手招きして、部屋の中に俺を招き入れた。

部屋の中に入った俺は、弥夜やよいの「し~っ」の意味をすぐに理解する。
紫愛シアが、俺のベッドの上で眠っていたのだ。

「勝手に入ってごめんなさい。
でも紫愛シアが、「ぱぱ、ぱぱ」って、なかなか泣き止まなかったんだ……」

申し訳なさそうにそう呟く弥夜やよい。そんな弥夜やよいに「いいんだ。ありがとな」と声を掛け頭を撫でた後に、俺はベッドで眠る紫愛シアに歩み寄り、傍に座った。
その時、紫愛シアが何やら縦長の四角い板のような物を両手で胸に抱くようにしているのに気付く。
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