スノウ2

☆リサーナ☆

文字の大きさ
上 下
574 / 589
番外編①紫夕side

①-5-6

しおりを挟む

だから、

紫愛シアちゃん。パパが戻ってきたら、私とパパであれやってあげようか?」

そう、声を掛けた、って。
そしたら紫愛シアは首を横に振って、あおいの事は「ままじゃない」って呟いた後に癇癪かんしゃくを起こして……。

「やー!!ちだーう!!」

それで、あおいに向かって泥団子を投げつけたそうだ。

……。

その経緯いきさつを聞いて、俺は言葉を失った。

「私が無神経な事を、言っちゃったんです。ごめんなさい……。
紫愛シアちゃんはきっと、紫夕しゆうさんと本当のお母さんに、高い高いやブランコをして欲しかったんだと思います」

「ーー……っ」

あおいの話で、全てが分かる。
つまり紫愛シアは、あおいが居たら本当の母親であるゆきが、もう戻って来ないと思ったのだ。
だから、ゆきの為に、あおいを追い払おうと……。

全てが繋がる。
俺が怒った時に言っていた「違う」とは、あおいの事を「ままじゃない」と言っていただけで……。
自分の事を「悪くない」と言ったのは、自分はゆきの為に戦ったと言うしっかりとした意志があったから……だった。

それなのに、俺は……っ。

手を引っ叩いて、怒鳴って、紫愛シアを突き放すような言い方をしてしまった。
紫愛シアは母親想いで、人の気持ちが分からない子なんかじゃなかった。俺の方がよっぽど、子供紫愛の気持ちを分かっていなかったのだ。

紫夕しゆうさん。
私の方は大丈夫です。だから、早く紫愛シアちゃんの所へ行ってあげて下さい!」

真実を聞いて落ち込む俺に、あおいは笑顔でそう言ってくれた。

でも、不器用な俺はすぐに帰っても紫愛シアにどう接すればいいのか分からなくて……。気持ちを整理する為にもあおいを女子寮に送ってから、自宅に戻る事にした。

……
…………。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

続きは第一図書室で

蒼キるり
BL
高校生になったばかりの佐武直斗は図書室で出会った同級生の東原浩也とひょんなことからキスの練習をする仲になる。 友人と恋の狭間で揺れる青春ラブストーリー。

『これで最後だから』と、抱きしめた腕の中で泣いていた

和泉奏
BL
「…俺も、愛しています」と返した従者の表情は、泣きそうなのに綺麗で。 皇太子×従者

白い部屋で愛を囁いて

氷魚彰人
BL
幼馴染でありお腹の子の父親であるαの雪路に「赤ちゃんができた」と告げるが、不機嫌に「誰の子だ」と問われ、ショックのあまりもう一人の幼馴染の名前を出し嘘を吐いた葵だったが……。 シリアスな内容です。Hはないのでお求めの方、すみません。 ※某BL小説投稿サイトのオメガバースコンテストにて入賞した作品です。

寮生活のイジメ【社会人版】

ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説 【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】 全四話 毎週日曜日の正午に一話ずつ公開

彼は罰ゲームでおれと付き合った

和泉奏
BL
「全部嘘だったなんて、知りたくなかった」

愛おしいほど狂う愛

ゆうな
BL
ある二人が愛し合うお話。

営業活動

むちむちボディ
BL
取引先の社長と秘密の関係になる話です。

放課後教室

Kokonuca.
BL
ある放課後の教室で彼に起こった凶事からすべて始まる

処理中です...