556 / 589
番外編①紫夕side
①-2-2
しおりを挟む
***
俺の気持ちとは裏腹に、時間は待ってはくれない。
総司令官から言われて昼過ぎから非番になった俺は、見合い相手を出迎える為に本部の出入り口である門の前で到着を待っていた。
見合い相手の名前は、星野 葵。とにかく、第一印象は失礼のないようにしなきゃな……。
車が見えて来ると、深呼吸して覚悟を決める。
最早ここまで来てしまったら、会わないで断る事は出来ない。ひとまず悪い印象を与えずやり過ごして、最後に丁重にお断りするしかないと思った。
しかし。
俺は、会う前に断らなかった事を後悔するーー。
こう言う事は後回しにすればする程。先延ばしにすればする程、断り難くなると言うものなのだ。
徐々にスピードを落とし、俺のすぐ側に止まったワゴン車。その扉を開け、出迎えようと思ったその時だった。
「初めまして!望月総指揮官!!
南支部、総司令官が娘の星野 葵!只今到着致しましたぁ!!」
ガラッ!!と勢い良く開いた車の扉と同時に耳に入ってきたのは、これまた勢いの良い元気な自己紹介。
そして、目に映ったのは見合い写真の和服美人からは想像もしていなかった、ショートカットにラフな服装のボーイッシュな女性だった。
マ、マジか……?
言われて見れば、面影はある。
けど、見合い写真で見た感じと、想像していた雰囲気のあまりの違いに俺は驚いて、言葉を失って……ただただじっと見つめてしまう。
すると、車から降りてきた女性は照れくさそうに頭をかきながら言った。
「やっぱり、ビックリします~……よね?
ごめんなさいっ!お見合い写真は、父にああしろ!って言われて、ずいぶんと盛りました!
けど、今日はどうしても偽りたくなくて……。これが、普段の私……なんです」
そう言って彼女は頭を深く下げて、ものすごく申し訳なさそうにしていた。
「ガッカリしましたよね?」って……。
でも、俺はその逆で……。そんな彼女に、思わず笑っちまった。
俺の気持ちとは裏腹に、時間は待ってはくれない。
総司令官から言われて昼過ぎから非番になった俺は、見合い相手を出迎える為に本部の出入り口である門の前で到着を待っていた。
見合い相手の名前は、星野 葵。とにかく、第一印象は失礼のないようにしなきゃな……。
車が見えて来ると、深呼吸して覚悟を決める。
最早ここまで来てしまったら、会わないで断る事は出来ない。ひとまず悪い印象を与えずやり過ごして、最後に丁重にお断りするしかないと思った。
しかし。
俺は、会う前に断らなかった事を後悔するーー。
こう言う事は後回しにすればする程。先延ばしにすればする程、断り難くなると言うものなのだ。
徐々にスピードを落とし、俺のすぐ側に止まったワゴン車。その扉を開け、出迎えようと思ったその時だった。
「初めまして!望月総指揮官!!
南支部、総司令官が娘の星野 葵!只今到着致しましたぁ!!」
ガラッ!!と勢い良く開いた車の扉と同時に耳に入ってきたのは、これまた勢いの良い元気な自己紹介。
そして、目に映ったのは見合い写真の和服美人からは想像もしていなかった、ショートカットにラフな服装のボーイッシュな女性だった。
マ、マジか……?
言われて見れば、面影はある。
けど、見合い写真で見た感じと、想像していた雰囲気のあまりの違いに俺は驚いて、言葉を失って……ただただじっと見つめてしまう。
すると、車から降りてきた女性は照れくさそうに頭をかきながら言った。
「やっぱり、ビックリします~……よね?
ごめんなさいっ!お見合い写真は、父にああしろ!って言われて、ずいぶんと盛りました!
けど、今日はどうしても偽りたくなくて……。これが、普段の私……なんです」
そう言って彼女は頭を深く下げて、ものすごく申し訳なさそうにしていた。
「ガッカリしましたよね?」って……。
でも、俺はその逆で……。そんな彼女に、思わず笑っちまった。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
黄色い水仙を君に贈る
えんがわ
BL
──────────
「ねぇ、別れよっか……俺たち……。」
「ああ、そうだな」
「っ……ばいばい……」
俺は……ただっ……
「うわああああああああ!」
君に愛して欲しかっただけなのに……
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
愛する者の腕に抱かれ、獣は甘い声を上げる
すいかちゃん
BL
獣の血を受け継ぐ一族。人間のままでいるためには・・・。
第一章 「優しい兄達の腕に抱かれ、弟は初めての発情期を迎える」
一族の中でも獣の血が濃く残ってしまった颯真。一族から疎まれる存在でしかなかった弟を、兄の亜蘭と玖蘭は密かに連れ出し育てる。3人だけで暮らすなか、颯真は初めての発情期を迎える。亜蘭と玖蘭は、颯真が獣にならないようにその身体を抱き締め支配する。
2人のイケメン兄達が、とにかく弟を可愛がるという話です。
第二章「孤独に育った獣は、愛する男の腕に抱かれ甘く啼く」
獣の血が濃い護は、幼い頃から家族から離されて暮らしていた。世話係りをしていた柳沢が引退する事となり、代わりに彼の孫である誠司がやってくる。真面目で優しい誠司に、護は次第に心を開いていく。やがて、2人は恋人同士となったが・・・。
第三章「獣と化した幼馴染みに、青年は変わらぬ愛を注ぎ続ける」
幼馴染み同士の凛と夏陽。成長しても、ずっと一緒だった。凛に片思いしている事に気が付き、夏陽は思い切って告白。凛も同じ気持ちだと言ってくれた。
だが、成人式の数日前。夏陽は、凛から別れを告げられる。そして、凛の兄である靖から彼の中に獣の血が流れている事を知らされる。発情期を迎えた凛の元に向かえば、靖がいきなり夏陽を羽交い締めにする。
獣が攻めとなる話です。また、時代もかなり現代に近くなっています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる