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最終章(6)紫夕side
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しおりを挟むその瞳は、とても戦闘をした直後のスノーフォールとは思えない穏やかな水色。
普通のスノーフォールならば真紅色に染まっている筈の瞳に、やはり雪なんだ、と俺は再認識する。
そして、魔物化してしまっても、雪は俺達を覚えているのだ。
雪がここに来たのは、おそらくたまたまではない。
魔物の争いに気付いて、この町が被害を受ける事を読んで……。更に、紫愛達の居る森に火の粉が降り掛からないよう、助けに来てくれたのだ。
かつて、魔物化しながらも自分を護ろうとしてくれた母親と同じようにーー……。
そして、繰り返される歴史ーー。
静かな戦場に、耳に着けている小型通信機の声が、響く。
『望月総指揮官!現場に残っている隊員各位、住民の避難ご苦労だった。
立て続けで申し訳ないが、追加で緊急討伐をお願いする』
それは、守護神の総てをまとめる総司令官の声。
『現場に現れたスノーフォールを討伐せよ!
皆も知っての通り、スノーフォールは幻龍。新しい魔器の開発だけでなく、間違いなくこれからの守護神の未来!……いや、皆の未来への糧となるぞ!!』
その言葉に、ドクンッと胸が高鳴り……。俺の頭の中に浮かんだのは、かつて、魔物化してしまった雪の母親。サクラさんを斬ってしまった時の記憶だった。
今も、鮮明に覚えてる光景。
あの時の俺は、命令に従う事が。
魔物を狩る事が、明るい未来へと続くと思って、信じていた。
ただ、"俺達人間"が明日を掴む為に必死なんだと思っていた。
ーー……けど。今は、違う。
俺は、雪に出逢って。
雪を知って、一緒の時間を重ねて……。
本当に護ると言う事と、幸せの意味を知った。
だからーー……。
"俺には、出来ません"ーー。
しかし。そう言って、斬月を地面に突き刺そうとした瞬間だった。斬月を握る俺の手を、隣に居た海斗がグッと握って……止めた。
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