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最終章(6)紫夕side
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しおりを挟む雪ーー……。
コカトリスの更に上の上空を羽音もさせずに飛び、こちらを見下ろす白龍を見上げて、俺はそう呟いた。
陽の光を浴びて銀色のオーラをキラキラと纏っているような姿は、まさに"純白の妖精"の異名に相応しい美しさ。
不思議だな。
コカトリスだって巨大な化け物なのに、スノーフォールはそれよりも更に巨大な龍だ。
普通、そんな化け物が現れたら、みんな驚きふためき腰を抜かすだろう。
けれど。
俺だけでなく、その場に居た者全てが、その美しさに見惚れて……暫く動けなかった。
そんな中、1番先に動いたのはやはりコカトリス。
グェエェェェーーー………ッ!!!!!
先程までの縄張り争いで、頭に血が昇っていたのだろう。
コカトリスは甲高い鳴き声を上げると、自分の上を飛んでいるスノーフォールを目掛けて飛び上がって行き、鋭い足の鉤爪で攻撃を仕掛けた。
普通の魔物が相手ならば、そのコカトリスの飛ぶ素早さと、鉤爪の殺傷能力に臆する事だろう。
しかし、相手が悪い。
スノーフォールは、魔物の中でも最高の力と知能を持つ龍族。更に、幻の……幻龍だ。
コカトリスが攻撃を仕掛けた瞬間、目の前に居た筈のスノーフォールが消え……。まさに、瞬間移動、と言う言葉が相応しい程の動きで背後に回り、コカトリスの背中に白い雪玉のような吐息を撃ち込んだ。
ギャウッ……!!!!!
モロに喰らったコカトリスは吹き飛ばされ、もの凄い勢いで地面に落ちて行った。
だが、それで終わりではない。ズザザザーッ!!!!!と、地面に擦られたコカトリスが体勢を整える前にスノーフォールは追いつくと、そのまま地面に押し倒した状態で身体を鋭い足の爪で押さえ付け、首元に噛み付く。
ッ、グェエェェェーーー……ッ!!!!!
激しい鳴き声を上げながら、痛みに暴れるコカトリス。
逃すまいと押さえ付け、噛み付いたまま喰い千切ろうとするスノーフォール。
巨大な魔物同士の争いに、大地が地震のように激しく揺れた。
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