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最終章(5)紫夕side
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しおりを挟む迷っている暇はない。
東の町に、魔物を近付けてはいけない。
「分かった!すぐに行く!!
俺が到着したらすぐに出動出来るよう、本部にいる隊員を集めて準備しておいてくれッ!!」
『分かりました!!』
ブチッと勢い良く切れた通信機をギュッと強く握り締めて、俺は気持ちを切り替える。
雪の事を忘れられる筈はない。けど、今は何よりも、雪が遺した大切なものを俺が護らなくてはいけなかった。
「マリィ、弥夜!俺は今から本部に行く。
聞こえたと思うが、魔物が近くの町まで来るかも知れねぇ。ここには近付けないように最善を尽くすが、万が一の時はすぐに避難しろ!
……弥夜、出来るな?」
俺がそう問い掛けて見つめると、弥夜は気を引き締めるように自分の頬を叩いて、「はい!!」と頷いた。
さっきまでの悲しそうな表情から一変。頼りになりそうな、男の表情に近付いていた。
さすが、響夜のーー……。
……いや、違うな。
「ーー……さすが、俺達の息子だ」
俺は、そう言って微笑むと弥夜の頭を撫でた。
雪とこの家で育んできた、大切な家族の絆。それは、雪がいなくなっても消える事はない。
「紫愛を、任せたぞ?」
それどころか、いっそう、強くなっていくんだーー……。
「ーー任せて!
紫愛もマリィも紫雪も、僕が絶対に護るから!!」
力強い返事に、今度は俺が頷く。
俺は弥夜は拳を合わせて、斬月を背にすると、家を後にして本部へと向かった。
……
…………。
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