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最終章(4)雪side
24-4-4
しおりを挟むマリィに頼んで、オレの写真や私物は全て処分してもらう事になってます。
あと、紫愛がもう少し大きくなったら、料理を教えてくれるように頼みました。オレがいなくなっても、紫夕のお気に入りの料理が、また、食べられるようにね。
紫愛には、オレの事は深く話さないで。
「身体が弱くて、物心がつく前に亡くなった」って、伝えてほしい。
こんな事言ったら、怒られるかな?
もう傍に居られないのは悲しくて寂しいけど、実はオレ、ほんの少しホッとしてるんだ。
紫愛を産んだ事を後悔した事は一度もないけど……。あの子を産んだのは、完全にオレの自己満足でしかなくて……。自分が母親になった事は、あまりにも無責任だった、って、思うんだ。
いつか、オレが母親である事で、紫愛が悲しんだり苦しんで、辛い想いをするのがずっとずっと嫌だった。
だから、まだ幼い紫愛の前から消えてなくなれるこの運命が、ほんの少し……有り難い。
弱い母親で、妻で、本当にごめんね。
紫夕。
紫愛がいつか、自分が普通の子ではないと気付いても、前に進める世の中を創って下さい。
出来る。絶対に、出来る。
いつも、仕事や未来の事を語る紫夕の表情を見るのが、オレは本当に大好きでした。
その夢を、実現する未来を、一緒に追い駆けているようで胸が弾んだんだ。
出来る事なら、また一緒に戦いたかったな。
一緒に戦場を駆け回っていたあの日々が、きっとオレにとって、"紫夕と生きてる"、って、1番実感出来た時だった。
オレは、守護神の望月 紫夕が、大好きです。
どうか、いつまでも夕陽のような暖かさを忘れないで下さい。
さようなら。
ーー……雪より。
……
…………
オレは手紙を書き終えるとペンを置いて、左手の薬指から指輪を外すと、テーブルの上に手紙と一緒に残して椅子から立ち上がった。
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