スノウ2

☆リサーナ☆

文字の大きさ
上 下
511 / 589
最終章(1)雪side

24-1-6

しおりを挟む
***

数日後ーー。
オレ達の家に賑やかな笑い声が響く。

「やだっ!その時の紫夕しゆうさん、すっごく見たかったぁ~!!」

そう言いながら居間で、オレが話した先日の出来事にお腹を抱えて涙目で爆笑するのは杏華きょうか
今日はこの家に、杏華きょうかが遊びにきてくれたんだ。
そしてその横に居るのは、紫夕しゆうが仕事で家を留守にする間、一緒に暮らしてくれているマリィ。

「フフッ、でも仕方ないわよねぇ?紫愛シアちゃん、こんっなに可愛いんだもの~。ねっ?」

「あいっ!」

紫愛シア、そこは謙虚にいこうよ……」

膝の上に乗せながら抱っこしてくれているマリィの問い掛けに、元気よく返事をする愛娘にオレはまた少し先が思いやられた。
これは絶対に紫夕しゆうが帰って来る度に、「紫愛シアちゃんは可愛いねぇ~!この世で1番可愛いよぉ~!」って、デレデレしながら甘やかしているからに違いない。

……いや、確かに紫愛シアは可愛いけどさ。

元々子供は好きだったし、産まれてくる前から愛おしく想っていたけど……。今は更に、日に日に愛おしくなってしょうがないんだ。

「まぁ~ま!だーこ!だーこ!」

マリィの膝上から小さな手を伸ばされて、可愛い声と笑顔で強請られたら、オレもつい、表情が緩んでしまう。

また、おっきくなったね。

甘いような、優しい匂い。
ぷにぷにで、すべすべの肌。
心に移りそうな、陽だまりのようにぽかぽかな体温。
触れる度に、抱く度に。
もう二度と、手放したくなくなってしまう。

「まぁ~ま!」

「ん~?」

「もっこちゃ!」

「それは、ダ~メ!」

そう言って額と額をコツンッとすると、紫愛シアは楽しそうに「きゃっきゃっ」と笑う。

オレがそう言うの、分かってるんだ。

そう感じて、涙が出る程嬉しくて……。でも、実は時々、切なくなるんだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

寮生活のイジメ【社会人版】

ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説 【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】 全四話 毎週日曜日の正午に一話ずつ公開

同僚に密室に連れ込まれてイケナイ状況です

暗黒神ゼブラ
BL
今日僕は同僚にごはんに誘われました

営業活動

むちむちボディ
BL
取引先の社長と秘密の関係になる話です。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

彼女にも愛する人がいた

まるまる⭐️
恋愛
既に冷たくなった王妃を見つけたのは、彼女に食事を運んで来た侍女だった。 「宮廷医の見立てでは、王妃様の死因は餓死。然も彼が言うには、王妃様は亡くなってから既に2、3日は経過しているだろうとの事でした」 そう宰相から報告を受けた俺は、自分の耳を疑った。 餓死だと? この王宮で?  彼女は俺の従兄妹で隣国ジルハイムの王女だ。 俺の背中を嫌な汗が流れた。 では、亡くなってから今日まで、彼女がいない事に誰も気付きもしなかったと言うのか…? そんな馬鹿な…。信じられなかった。 だがそんな俺を他所に宰相は更に告げる。 「亡くなった王妃様は陛下の子を懐妊されておりました」と…。 彼女がこの国へ嫁いで来て2年。漸く子が出来た事をこんな形で知るなんて…。 俺はその報告に愕然とした。

真・身体検査

RIKUTO
BL
とある男子高校生の身体検査。 特別に選出されたS君は保健室でどんな検査を受けるのだろうか?

隣の親父

むちむちボディ
BL
隣に住んでいる中年親父との出来事です。

男子学園でエロい運動会!

ミクリ21 (新)
BL
エロい運動会の話。

処理中です...