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第23章(4)紫夕side
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しおりを挟む「紫夕さんが命を懸ける戦いは、ここじゃない。
紫夕さんには、紫夕さんにしか出来ない事がたくさんある。それなのに、親父の事で貴方が手を汚す必要はない。
この世界の未来の為に……。いや、雪や子供の為に。そうでしょう?」
そう言った奴の声と表情が今までに見た事がない位に切なく、儚い気がして……。全然似てない、って思ってたのに、それが、ほんの少し雪に似てる気がして……。俺は、響夜の提案の全てを受け入れた。
……
…………そして、迎えた今日。
俺はまた、響夜に悔しい気持ちにさせられる。
「い、やだ……ッ。
響夜も、っ……一緒じゃ、なきゃ!ぃ……ッ、嫌だぁーー……ッ!!!」
俺と繋いだ手を放して、雪は響夜の後を追って捕まえると、そう泣き叫んだ。
知ってるか?
雪があんな風に感情を出したり、我が儘を言う事なんて、滅多にねぇんだ。
雪は賢くて、状況を理解して、我慢して……。取り乱すなんて事、ねぇんだよ。
そんな雪が、我を忘れて響夜を引き止めて、泣き叫んでいた。
分かるだろ?
雪にとって、響夜、お前は特別なんだよ。
……ずりぃ。
ずりぃ、だろ……っ、ムカつく。
雪にあんな風に気持ちをぶつけられたんだ。
お前だって叫べばいいじゃねぇか。
お前だって行動すればいいじゃねぇか。
雪の事、「好き」って言って俺から奪いに来いよッ……!!!!!
そしたら俺も、全力でお前と向き合ってやり合えたのに……。
「ーー頼むよ。
僕の、大切な……弟なんだ」
……それなのに。
そんな風に託されたら、もう、何も言えねぇじゃん……ッ。
俯いた瞬間に地面に落ちた涙を、オレは歯を食いしばって進む足で踏み付けていた。
俺が響夜に勝つ方法は、もう一つしかない。
未来に進んで、雪達が幸せになれる時代を創る事しかなかった。
……
…………。
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