スノウ2

☆リサーナ☆

文字の大きさ
上 下
499 / 589
第23章(3)響夜side

23-3-4

しおりを挟む

それなのに、更に……ズルいなぁ。

ゆきを連れて戻る時は、その子供も一緒だ。人間と魔物が共存出来る世界を創る為にも、そこは譲れない。
何とか方法を考えて……。全てはそれからだ」

その言葉を聞いた瞬間。
「なんだよ、それっ……」って思わず声が漏れて、バカらしくて笑えたのに……。何故か心は暖かくなって、涙が出た。

負けた、って……思った。

良かったな、サクヤ。
お前が選んだ奴は、間違いなく最高で……。お前の、運命の相手だよ。

全ての、諦めが……。
いや、全ての決意がついたーー。

だから、……。

「ーー味方なんて必要ないッスよ」

「っ、響夜きょうや……?!」

以前まえに言ったでしょう?
アンタに、サクヤアイツは渡しませんから」

もう、迷ったりしない。

「……なんてね。
冗談です。僕が……力を貸します」

自分を信じよう。
必ず自分に出来る事がある、と。

「その代わり、僕の頼みを聞いて下さい」

そして、もう一度願おう。
大切な人が、幸せに生きてくれる未来をーー……。

……
…………

そして僕は、紫夕しゆうさんと約束した。

望むのは、サクヤとお腹の赤ん坊の幸せ。
僕の息子であり、人型魔物である弥夜やよいの幸せ。
その為に、人型魔物に詳しい担当医の朝日あさひも一緒に連れて行き、必ず護る事。

後の事は……。親父の事は僕に任せて、何があっても振り返らず、ただサクヤ達を連れて逃げ切る事だけを考えろ。

……そう話して、決行する日を決めた。

それが今日だ。
今日で、全てが終わる。
僕が研究所に向かい、騒ぎを起こし、親父の注意を引き付けている間に、紫夕しゆうさんにサクヤ達を連れて行ってもらう予定だった。

内緒でこんな事を計画してる、ってバレたら、サクヤコイツは絶対に怒ると思った。
だから、必死に必死に……今日まで隠して、平然を装って一緒に生活してきた。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

できそこないの幸せ

BL / 完結 24h.ポイント:42pt お気に入り:210

富豪外科医は、モテモテだが結婚しない?

キャラ文芸 / 連載中 24h.ポイント:902pt お気に入り:221

悪役令嬢は可愛いものがお好き

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:14pt お気に入り:1,893

「続きがある台本たち」

エッセイ・ノンフィクション / 連載中 24h.ポイント:106pt お気に入り:2

【完結】うちの子は可愛い弱虫

BL / 完結 24h.ポイント:113pt お気に入り:202

ミューズ ~彼女は彼らの眩しい人~

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:7

処理中です...