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第22章(5)紫夕side
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しおりを挟むそんな中で杏華は自ら、守護者に戻って来た俺に声をかけてくれたんだ。「私も、紫夕さんと雪君の為に何か出来ますか?」って。
本当に有り難かった。
俺としては、海斗にも早く真実を話したいが……。海斗にはスノーフォールを討伐した際の件や、森の中で雪とやり合った件もあって、なかなか話を切り出せずに居る。
今、総指揮官として再び俺を慕ってくれているだけでも進歩だと思わなくては……。
とは言え。
協力者がマリィと杏華の二人と言う現状では、ハッキリ言って厳しい。
確かに、"夢は一歩ずつ近付いている"し、"いつかは叶う"と思うが……。このままのペースでは、雪が安心して戻ってきてくれる環境を創るまでに時間がかかり過ぎるんだ。
腹の子供、来年の頭くらいには産まれんのか?
雪を抱き締めた時に感じたお腹の中の赤ん坊の感覚を思い出して、焦る訳ではないが……。やはり一刻も早く自分の手と目の届く場所に雪を置いて置きたい、って思った。
自分の傍に居てほしい。
一緒に、子供を育てていきたいーー。
そう思ったら、やはりすぐに一緒に住む事は無理でも、以前マリィからアドバイスを受けたように、本部から少し離れた場所に隠し家を建てて、そこに雪と子供を匿うのが最善の道だと思った。
だが。
そうなると問題は橘。
奴に邪魔されないように、安全に、研究所から雪達を連れ出さなくてはならない。
「……そうだな。
やっぱ、もう少し……味方が必要だよな」
橘が相手となれば、戦闘になる事を視野に入れなくてはならない。
そうなると、まだ病み上がりの杏華に頼り切るのは難しいし、マリィがいくら頭がキレようが限界があるだろう。
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