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第22章(5)紫夕side
22-5-3
しおりを挟む「ヤダッ!もうっ、紫夕ちゃんったら!最高ぉ~~~っ!!」
「きゃ~っ!!紫夕さん、カッコ良すぎ~~~ッ!!!!」
「ーーおわぁ~~~ッ!!?」
ソファーに座っていた俺を押し倒す勢いで、そう叫びながら抱きついてきた。
「良い男になった!ようやく、良い男になったわねぇ~~~!!!」
「っ、ようやくッ?!」
「ほんと、惚れ直したわ~!雪君帰って来る前に、もう一回抱いて~!!」
「っ、何言ってんだ!抱くかッ!!お前はさっさと海斗ん所に行けぇい!!デートだ、って言ってただろッ!?」
褒められるのは嬉しいが、何だか褒められ方が気に入らなかった俺がベリッと引き剥がすと、二人はおかしそうに笑っていた。
その様子に「っ、たく!」って溜め息を吐いた俺だったけど、杏華とマリィの笑顔を見ていると心が暖かくなった。
その笑顔も、きっと夢への第一歩が歩み出せている証。
俺の夢を共感してくれる人がいる。
一緒に笑ってくれる人がいる。
そんな人を焦らず、一人一人増やしていけば……夢はいつか必ず現実になるんだ。
そう実感して、俺も笑った。
……
…………そして。
「んじゃ、私は海斗が待ってるから行くわ!
またね~紫夕さん。マリィさん、お邪魔しました~!」
暫くして、杏華はそう言うと、帰って行った。
静かになってホッと一息。淹れてもらった紅茶を飲んで喉を潤していると、正面に座ったマリィがご機嫌そうに自分も紅茶を飲みながら言う。
「杏華ちゃんが良い子で良かったわねぇ~。海斗ちゃんも、分かってくれるといいんだけど……」
その言葉には同感だ。
雪の事や、俺が総指揮官になった本当の理由を誰かに打ち明ける事は容易ではない。タイミングを間違えれば、あっという間に崩れて全てが水の泡になるからな。
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