スノウ2

☆リサーナ☆

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第22章(5)紫夕side

22-5-2

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杏華きょうかの言う事は、もっともだった。
けど、今回ばかりは俺にも言い分があり、ゆきを強引に連れて来なかった事は正解だと思っている。
マリィが「まあまあ」って、杏華きょうかを落ち着ける為に紅茶を淹れて持って来てくれたタイミングで、俺はもう一度口を開く。

「ちっこいのが居たんだ」

「え?」

ゆきが今住んでる小屋みたいな家に、ちっこい子供が居た。
あの研究所に居るって事は、おそらくそいつもゆきと同じ人型魔物だろう。ゆきは今、きっとそいつと暮らしてんだ」

俺の言葉に、杏華きょうかとマリィは驚いたように目を見開いていた。当然だ。

ゆき響夜きょうや以外に、人型魔物がいるーー。

その事実は、俺達人間からしたら普通はおぞましい事だろう。人間の知識を持ちながら、魔物の力を持つ強人なんて何よりも恐ろしい化け物だ。

……けど。俺はーー……。

「俺は、ゆきだけじゃなく、その子供も救ってやりたい」

あの時見かけた子供を思い出して、俺は言った。
ちっこい身体で、不安そうに、怯えて俺を見てた。
その姿は、人間の子供と全く変わらない。普通に人間に紛れて暮らしていたら、誰もあの子が人型魔物だなんて気付かないだろう。

「普通に、暮らさせてやりたいんだ。
ゆきもきっと、自分だけ幸せになる事なんて望んでない」

ゆきは、俺と帰る事を頑なに拒んだ。
俺にはその理由が、俺と暮らす事を不安に思ってる以外に何かあるように感じてならなかった。だから……。

ゆきを連れて戻る時は、その子供も一緒だ。人間と魔物が共存出来る世界を創る為にも、そこは譲れない。
何とか方法を考えて……。全てはそれからだ」

自分の夢の為に。
ゆきの夢と幸せの為に。
俺は、そう決意を固めて二人に告げた。

すると、暫く黙っていた杏華きょうかとマリィだったが……。
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