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第22章(4)弥夜side
22-4-1
しおりを挟むゆきさんが、つれていかれちゃうーー!!
外へと繋がる玄関の扉一枚を隔てて家の中に居たボクは、そう思った。
外で雪さんと話しているのは、自分の知らない人。
でも、その相手が誰なのかボクには何となく分かっていたんだ。
その相手の事を知ったのは、父さんが桜のヘアアクセサリーを雪さんにプレゼントした夜の事だった。
……
………父さんと一緒に入る湯船の中で、ボクは嬉しさのあまり笑みが止まらなかった。
「……なにニヤニヤしてんだよ。気持ち悪りぃな」
「!っ、き、きもちわるい……ですか?」
父さんは口が悪い、毒舌ってやつです。
知ってるけど、さすがに「気持ち悪い」の言葉には一瞬ガーン!ってショックを受けました。
けど、それよりも嬉しさの方が勝っていたボクは、すぐに立ち直って言います。
「ボク、うれしいです!」
「あ?」
「おとうさんとゆきさんが、"いいカンジ"でとってもうれしいです!」
こんな事を言ったら、また「は?」って睨まれるか、「殺すぞ」って言われるかも知れないけど構いません。
だって、最近のお父さんは本当に幸せそう。そして、その理由が雪さんが傍に居てくれてるからだ、ってボクは知ってるから……。
ボクが今よりも小さかった時からつい最近まで、お父さんはずっとずっと険しい表情ばっかりしてて、何処か寂しそうでした。
でも、最近は……。特に、この家で三人で暮らし始めてからは表情が優しくなったんです。
睨んでいても、怖い言葉を言われても、その中に柔らかさを感じられるようになりました。
おとうさん。
ゆきさんのことが、すきなんだーー!!
そう分かった時は、ボクまで嬉しくなりました。
雪さんは、すごく優しい人。妖精さんみたいに綺麗で、良い匂いがして、ボクもすぐに大好きになりました。
本当のお母さんじゃないけど、一緒に居ると暖かくなれます。
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