スノウ2

☆リサーナ☆

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第22章(3)雪side

22-3-2

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「帰って……」

オレを見つめる紫夕しゆうを、しっかり見上げて伝える。

「オレは、ここに居る。
……一緒には、帰らない」

そう告げたオレの中には、響夜きょうやがくれた毎日が浮かんでいた。

オレが涙を流さなくていいように。
傷付いたりしないように。
響夜きょうやはいつも、最善を尽くしてくれた。
悪阻つわりで体調が良くない時。赤ちゃんを少しでも身体の中で育てられるよう、胎内の進化を促す薬の副作用でオレが苦しんでた時。
いつも傍に居て、背中を摩ってくれたり、手を握ってくれた。

優しい言葉も。
「愛してる」って言葉も。
「ただいま」も、「美味い」って言葉もないけど……。その行動には、いつもオレへの想いが込もってた。

この前だってーー……。

帰宅した響夜きょうやから、珍しく血の匂いがしてオレは問い詰めたんだ。「怪我してるんじゃないの?」って。
でも響夜きょうやは「返り血だ」って。かたくなに取り合ってくれなくて……。
その翌日、高熱を出してベッドから起き上がれなくなった。
弥夜やよい君が朝日あさひ先生を呼んで来てくれてすぐに処置が出来たけど、響夜きょうやの左肩には酷い傷があった。

「これは……魔器マギで斬られた傷だ」

何故、響夜きょうや魔器マギにーー?

朝日あさひ先生の言葉に、オレには疑問しか浮かばなかった。
響夜きょうやは強い。きっと今現在、魔器マギを振るう者の中で1番の存在だろう。
かつては自らの魔器マギである鬼響ききょうに心を支配されていたけど、その呪縛を解いて本来の力を発揮出来る響夜きょうやには、オレが今魔器マギを手にしても勝てる相手ではないだろう。

ーーそう。
響夜きょうやが、"自らの意志で戦えるのなら"……、……。

けど。
そう出来なかった状況だったのだ、と悟った瞬間。オレの中に浮かんだ答えは、たった一つしかなかった。
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