スノウ2

☆リサーナ☆

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第22章(2)紫夕side

22-2-7

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***

12月に入った頃の事だった。
まさかの、出来事。

俺は、ゆきと再会するーー。

それは、本当に偶然だった。
守護神ガーディアンの仕事で、たちばなの様子を探る為に奴の研究施設付近に来ていた時の事。
警備の状況を偵察していたら、……。

ーー……ゆ、き?

声が、出なかった。
研究施設の片隅にある小さな小屋の前で、ゆきも声を発する事なく……。ただ、俺を見つめていた。
警戒して、なるべく建物には近付かないようにしていたから、俺達の間にはまだずいぶんな距離がある。

けど。自然と引き合うように、俺とゆきはその存在に気付いて、見つめ合っていたんだ。

こんな事あるかーー?

視線の先に居る美しい存在に、俺はもう一度恋をしたかのように心を奪われた。
視線の先に居るのはゆきなのに、まるで別人のような……。また、新たに恋をしたかのような気持ちが湧き上がっていたんだ。

髪型が違うからでも。
服装が違うからでも。
数ヶ月振りに会うからでもない。

俺がゆきに抱く想いは、こんなにも尽きる事のないものだった。
冬が終わって溶け切った雪が、また次の冬が来た時に彩る雪景色のような……。毎年見ても、冬が来る度に目にしても、その感動に飽きる事がない。

何度も目にしても、綺麗だーー……。
例え、目の前から何度その姿が消えても……俺の気持ちは絶対に変わらない。

「ーー……好きだ」

長い長い総指揮官としての人生の中で、俺が軽率になるのは、いつだってゆきの事だけだった。
俺は無防備に、何の考えもなく……。気付いたら、たちばなの研究施設の敷地内に侵入し、距離を縮め……ゆきを抱き締めていた。

「一緒に帰ろう。
もう一度、一緒に暮らそう」

抱き寄せた細い身体。密着した部分から、ブカブカの服装の見た目では分からなかったお腹の膨らみを微かに感じて……。俺は、命に替えても護ろうと誓った。

……
…………。
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