スノウ2

☆リサーナ☆

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第22章(2)紫夕side

22-2-4

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子供達から話を聞いて、連れ去ったのが風磨ふうまだと分かっている以上、ゆきの居場所がたちばなの元である事はほぼ間違いない。
ゆきは今、間違いなくたちばなの研究所に居るだろう。

居心地が良い筈がない。
たちばなゆきを息子ではなく、実験動物としか思ってないからな。
当然お腹の子だって、たちばながまともに扱うなんて考えられなかった。

一刻も早く、助け出さなくてはーー……。

本当は、そうしたい気持ちでいっぱいだった。

……でも。
マリィに話を聞いてもらう内に、思ったんだ。
確かに、たちばなの元に乗り込み、ゆきをもう一度この手に取り戻す事は不可能ではないだろう。

けど、その先はーー?

ゆきたちばなの息子。
そして、人型魔物なんだ。産まれてくる子も当然、少なからずその血を受け継いでいる。

一生、逃げ回るのかーー……?

守護神ガーディアンを裏切り、人型魔物を造り出したたちばなは指名手配人。
その息子であり、人型魔物本人であるゆきも、当然人々からうとまれ、疎外そがいされてしまうだろう。

そんな中で、ゆきは……。
産まれてくる子供は、幸せになれるのかーー?

そう、心の中で疑問を抱いて、俺は思ったんだ。

この、今の世の中を変えなくては何の解決にもならないのだ、……と。

ゆきと居られれば、いいと思ってた。
ゆきと居れば、幸せになれると思ってた。
けど、それは本当の幸せではないと、俺はゆきとの逃亡生活の中で悟っていたんだ。

そして、決めたんだ。
ゆきの描いた夢と、俺が抱いた夢を実現させる。

ーーそう。
人間と魔物が、共存出来る世界を創るーー。

その為には、地位が必要だった。
魔物を敵対する守護神ガーディアンを内部から変える為に、俺には本部内で様々な事を動かせるようになる力が必要だった。
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