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第22章(2)紫夕side
22-2-1
しおりを挟む「望月 紫夕。
本日付けで守護神の特殊部隊、全てをまとめる総指揮官に任命する」
守護神に戻って二ヶ月が過ぎた頃、本部の最高位である総司令官から俺はそう告げられた。
っーー……よっしゃ!!
苦手な堅苦しい任命式の最中。形式に習って、気を引き締めて「はっ!!」と胸に手を当てて頭を下げながらも、俺は心の中でガッツポーズを作って飛び上がっていた。
これでようやく前に進める。
一歩ずつだが、確実に……、……。
「紫夕さん!おめでとうございます!!」
「すごいです!!さすがですっ!!」
「やっぱり守護神には、紫夕さんがいなきゃ!!」
任命式が終わると、隊員達が俺の周りを取り囲みワイワイ騒ぎながら祝いの言葉を浴びせてくれる。その中には、
「おめでとうございます!隊長っ……、いえ!これからは、総指揮官ですねっ!!」
また以前のように慕ってくれる、笑顔の海斗も。
「本当に良かったですよ~!紫夕さんが"元に戻って"くれて!」
安心したように微笑む、杉本もいた。
そんな連中に、俺も微笑みを返す。
「みんな!ありがとな!!
これからもよろしく頼むぜ~!!」
でも、本当は物足りない。
欠けた人を、今は思い出さないようにして……。
「そうだ!お祝いしましょ!!」
「今夜は飲みに行こ~!!」
「っああ!わりぃ!!俺、今夜は予定あるんだ」
「えぇ~~~ッ!!!」
「何ですか~!タイミング悪いなぁ」
「あ!もしかして、女の子とデートですかっ?!」
っーー……。
女の子と、デートですかーー?
その問い掛けに、一瞬、胸がズクリッと痛んだ。
そんな俺の心の中に浮かんだのは、たった一人だ。
雪以外、デートしたい奴なんていねぇーー。
……けど。
その想いは自分だけの胸にしまって、俺は笑う。
雪を愛するまでの自分に戻ったように、演じるんだ。
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