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第22章(1)雪side
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しおりを挟む響夜は何を作っても絶対に褒めたり感想を言ってくれないけど、こうやって夕飯の時間には必ず帰って来て一緒の食卓を囲んでくれる事がオレは嬉しかった。
その気になれば「腹いっぱい」とか「いらない」って言ったり、帰って来ない事だって出来るもんね。
それなのに、任務で泊まりの時以外は必ずオレの作ったご飯を食べてくれるから……。それが何よりの答えだと思っていた。
けど、オレはこの後。さっき感じた違和感と、響夜の新たな優しさを知るんだ。
それは夕飯を済ませた響夜が、お風呂に入ろうとした際の事。
「いっしょにはいるです~!」って、弥夜君が部屋に着替えを取りに行った際の事だった。
「おとうさーん!コレ、ゆかにおちてたです」
そう言って戻って来た弥夜君の手には、着替えではなく小さな紙の袋にピンクのリボンがついた包装の"何か"が持たれていた。
?……何だろう?
オレがそう思った瞬間。椅子に座っていた筈の響夜が瞬時に立ち上がって弥夜君の元へ行くと、その"何か"を取り上げた。
「……今見た物の事は忘れろ」
「え~?」
「「え~?」じゃねぇ、殺すぞ」
「!っ、ちょ、響夜!そんな怖い事言わないでよっ」
響夜の言葉に驚いて、オレも思わず席を立ち上がる。
でも、さすが響夜との生活に慣れているのか、弥夜君はたいして驚いたり怯えたりしている感じでもなく……。むしろ、そんな響夜にパァッと笑顔になって言った。
「あ!もしかして、プレゼント!プレゼントですかっ?!」
「!……え?」
「おとうさんからゆきさんに、プレゼントですかっ?!」
響夜から、オレにプレゼントーー……?
弥夜君のその発言に、まさか、って思った。そんな訳ない、って……。
一方の響夜は黙ったまま。「そう」とも「違う」とも言わず、手に"何か"を持ったままオレに背を向けていた。
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