スノウ2

☆リサーナ☆

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第21章(5)雪side

21-5-5

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暖かい体温。身体には確かに鼓動が響いていて、オレは心から安堵した。

っ、オレの為に……。ごめんね……ッ。

その小さな身体を抱き締めたら、また涙が溢れてきて弥夜やよい君の頬に落ちる。
けど、風磨さん死神は尚も変わらない。この状況を楽しむような笑い声が、部屋に響いた。

「ハハハハハッ……!!
やはり、また邪魔しに来たね。響夜きょうや君」

「……アンタは、何故まだここに居る。親父にここを出て行け、と言われた筈だろう?
アンタにサクヤを渡す計画は白紙だ。今すぐに立ち去らないなら……力尽くで出て行ってもらう」

橘さん父さんに出て行けと言われた。
オレを渡す計画は白紙。

その言葉から、風磨ふうまさんが言っていた「許さない」という言葉の意味を理解する。
そして思った。確かに風磨ふうまさんがした事は、許される事ではない。でも、その背景にあるのは……。

ーー橘さん父さんが、己の楽しみの為に風磨ふうまさんを巻き込んだから……。

風磨ふうまさんは利用されたんだ。橘さん父さんの実験や企みを更に盛り上げる為に、ただただ騙されて利用されたんだ。
そう、分かると不憫に思う。……けど。

「そんな事を言うなよ。
たちばなさんはね、きっと僕を試しているんだ」

もう、元には戻れなかった。

「僕が1人でもやれるか。自分の後継者に相応しいか……。
それを見極める為に、えて試練を与えてくれているんだよ!」

己の欲に取り憑かれた風磨ふうまさんに、言葉は届かない。

「だから僕は応えなきゃならない。
その為にはゆき君が必要なんだ。……そう、僕にとっての"サクラさん"が必要なんだ」

橘さん父さんによく似た表情を浮かべて、風磨ふうまさんは言った。

ゾクリッと、身体が震える。
そして、痛感した。例えもし仮に橘さん父さんがこの世からいなくなっても、同じ想いや意志を継ぐ人がいて……。オレのような存在が、また産み出されていくんだ、と言う現実を……、……。
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