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第21章(4)雪side
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しおりを挟むけれど、勢い付いた弥夜君は嬉しそうにどんどんと話しを続ける。
「ボク、わかるです!おとうさんは、ゆきさんがだいすきですっ!!」
「や、弥夜君……っ」
「だって、ボクはおとうさんとーー……。
って、これはゆっちゃダメでした!おとことおとこの、やくそくです」
そして、急に小さな手で人差し指を立てて、「し~っ」って口元に当てていた。
その仕草をする弥夜君が可愛い。
でも、弥夜君の言った響夜が「オレを好き」発言や、男と男の約束、とやらが気になって頭の中と心臓がうるさく暴れていた。
お、落ち着け……。
きっと弥夜君は気を遣って、響夜がオレの事「好き」って言っただけだ。
オレは自分にそう言い聞かせて、何とか気持ちを落ち着けようと胸に手を当てながら深呼吸をしていた。……その時。
ーー……ガタンッ!!!!!
廊下から大きな音が聞こえた。
そして、直後に耳に届く「うわぁーーー!!!」と言う、叫び声。
人がバタバタと走り回るような足音と、「大変だぁーーー!!!」って叫び声が廊下に飛び交ってる。
元々暴れていた心臓が別の意味で騒ぎ出すのは、すぐだった。
「っ、な……なんですか?」
「!っ、弥夜君!離れないでッ……!!」
この部屋に、誰か近付いてくるーー。
オレは何者かの気配を感じとって、怯える弥夜君を背後に誘導した。
その直後。
バンッ……!!!!!
オレ達のいる部屋の扉が、一瞬で吹き飛ばされて……壊された。
逃げる間も無く、その、壊された扉からゆっくりと部屋に足を踏み入れてくるのはーー……。
「ーー……許さない」
ゾクッと心を震わせる、明らかな殺意をもった声。
忘れかけていた"危険"が、よみがえってくる。
「僕は、絶対に許さないよ」
「っ、……風磨、さん」
身に纏っている白いロングコートを返り血で染めた、死神の鎌のような形状をした風乱を手にした……風磨さんだった。
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