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第21章(4)雪side
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しおりを挟む「なるほどね。
それを聞くと、響夜君も普通の男の子なんだなぁ、って思うよ」
「?……え?」
「いや、男の子ってさ。どうしても自分の好きなーー……」
「?……自分の、好きな?」
「!……あ~、いやいや!何でもないよ」
「???」
朝日先生は「ゴホンッ」っと咳払いをして、一旦切り替えるようにすると、オレにある事を教えてくれた。
それは、オレの赤ちゃんの件で橘さんに掛け合ってくれた際の響夜の事。
「橘さんはね、例え実の息子である響夜君でさえ会うのがとても難しいんだ。
だから今回の件の話を聞いてもらう為に、響夜君は橘さんの無茶なお願いを受け入れたんだよ?」
「無茶な、お願い?」
「……うん」
朝日さんは話してくれた。
橘さんに話を聞いてもらう為に、響夜が守護神の隊員が何人かがかりでやる任務をたった一人で熟してきた事。
それでもなかなか話を聞いてもらえなくて、響夜は何日も橘さんの部屋の前で待ち続けてくれていた事。
任務で帰って来てから休む事なく、疲れてたのに何日も何日も……。一睡もしないで掛け合ってくれて……。
そしてさっき、オレの元へすぐに報告に来てくれたのだ、と。
「それだけじゃないよ。響夜君はねーー……」
「内緒だよ」、って、朝日先生は更に教えてくれた。
産まれてくる子供を、絶対に実験動物として扱わない事ーー。
その為なら、自分がどんな実験や任務にも力を貸す、って……。橘さんに、交渉してくれていた、って……、……。
……
…………。
その話を聞いたオレは、その夜。なかなか眠る事が出来なかった。
……
…………。
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