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第21章(3)響夜side
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しおりを挟むやっぱり愛する相手の……。
紫夕さんの子供だから、サクヤは大切にするのか?
……
「響夜、お前がそんなに弟想いだとは思わなかったよ。
やはり、アレか?そっくりだもんなぁ、サクヤはサクラに」
サクヤの件で掛け合った時、親父に言われた。
「お前がサクラに惹かれていた事は、気付いていたよ。
それでも私がお前をサクラの元に通うのを阻まなかった理由、分かるか?」
そこには、夫婦の愛も。
親子の愛も、微塵もなかった。
「別に私は良かったんだよ。お前がサクラに手を出してくれても……。
それで新たな被検体でも作ってくれたら、傑作だったからなぁ」
心底からその状況を楽しむ笑いが、僕の耳から頭に響く。
ーー……今に始まった事じゃない。
僕が目にして育ってきたのは、そんな不毛な世界だった。
だから僕も、ハッキリ言ってサクヤの腹の子供の事なんてどうでも良かったんだ。
ただ、サクヤの笑顔が見たい。
サクヤに生きてほしい。
それだけだった。
別にサクヤに愛してほしい訳じゃ、なかったんだ。
ただ、サクラの分も笑顔にして、「護ってやる」って約束を果たしたかっただけだった。
ーー……それなのに、…………。
弥夜の母親の事を聞かれて。
まるで、自分が親父と同じだと言われているような気がして……嫌だった。
サクヤにそう言われるのが……。
親父と一緒に見られるのが、嫌で嫌で仕方なかった。
親父の息子としてじゃなく。兄としてじゃなく……。
僕はサクヤに一人の男として、見てもらいたかったんだ。
「……でも。
その結果がこれじゃ、ますます嫌われたな」
結局、僕がサクヤを護る、と言っても限界がある。
親父の支配下の中で出来る事は限られていて、完全な自由、なんて叶えてやれないんだ。
……
…………。
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