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第21章(1)雪side
21-1-3
しおりを挟むそれは繰り返される、まるで運命のような巡り会わせーー……。
自分で自分を抱き締めながら、必死に必死に涙を堪えていた時だった。
ーー……バサッ!!
「!?……っ、誰ッ?!」
何かが、床に落ちる音。
オレは音のした方を見て、咄嗟にベッドから降りると身構えた。
っ、……誰か、いる?
自分の感情に浸り過ぎて、すっかり警戒を怠ってしまった。ここは敵だらけの、危険な場所なのに……。
部屋に感じる知らない匂いと気配。ここに来て、初めて感じる人物のものだった。
涙は引っ込み、鼓動が早まる。
緊張感が高まる中、オレはじっと視線を逸さなかった。
さっき音がした床に落ちているのは、本。一冊の、絵本だった。
そして、その側の……。部屋に置いてある、大きめの観葉植物の陰から顔を覗かせる、おそらく絵本を落とした人物。
ゴクッと、固唾を呑んだ俺の瞳に映ったのは……。
ーー……っ、え?
……こ、子供…………?
予想外の人物に、オレは驚いた。
部屋に居たのは、そう、子供だ。多分、4歳位の……黒髪に黒い瞳をした男の子だった。
な、なんで……子供が?
驚きで、警戒も緊張感も吹っ飛び、呆気に取られるオレ。
すると、オレを観葉植物の陰から見つめていた男の子が言った。
「……か……さん、……すか?」
「?……え?」
初めは小さくて、耳の良いオレでもよく聞こえなかった。
けど。男の子はパァッと笑顔になると、今度は元気良く言う。
「おかあさんですかっ?!」
「ーー……っ、ぇえ?!」
お母さんですかーー。
その言葉に更に驚くオレを他所に、男の子はその場を駆け出して来ると嬉しそうに足元に飛びついてきた。
そして、オレを見上げながら男の子は話し続ける。
「ボク、ずっとさがしてました!」
「っ、……」
「おかあさんのこと、いっぱいいっぱいさがしたんですっ!
ずっとあいたかったです……!!」
ずっと会いたかったですーー。
その言葉に、オレは何となくこの子の状況を察して黙り込んだ。
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