スノウ2

☆リサーナ☆

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第20章(4)紫夕side

20-4-8

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でも、ゆきは両手でそっと優しく、自分の下腹部に触れていた。
その姿を見て、俺はまた、考える。

……もし、…………。
もし本当にゆきの中に子供が居るなら、俺はーー……。

するとその時。玄関の扉が再びノックされ、ハッとした俺とゆきは、同時に扉をじっと見つめた。

「サクラさん、何度もごめんね?
お節介だとは思ったんだけど……。ドアノブに掛けておくから、これだけ受け取ってもらえないかい?」

声の主は亜希あきさん。
ゆきは扉を開けず、何も答えない。すると再び、亜希あきさんは話し出した。

「うちの息子の嫁もね、「子供が出来ない」って言われた時があったんだよ。
でも、無事に授かって、春来はるきは生まれてきてくれた。
だから……。サクラさんが何で「子供が出来ない」って言ったのかは分からないけど、思い込みで諦めちゃいけないよ?」

その言葉の後に、カタンッて、ドアノブに何かを引っ掛ける音がした。
そして、「じゃあ、身体大切にしなさいね」って言って……。足音が、次第に遠ざかって行った。

亜希あきさんの気配が扉の前から消えると、ゆきは立ち上がって覗き穴から外の様子を確認していた。
そして、そっと扉を開けると、ドアノブに掛けられていたらしき手提げのビニール袋を持ってコテージ内に戻ってくる。
中に入っていたのはリンゴと、何やら横長の四角い箱。

?……それ、なんだ?

俺には、それが何なのかパッと見ただけでは分からなかった。
けれど、壁掛けの時計を見たゆきは、何かを決意したようにその箱を開けて中身を取り出すと……。真っ直ぐにトイレへ向かって歩き出す。
そのゆきの表情は、さっきとは別人のように冷静になっていた。まるで、自分の中で悩んでいた事への答えが出たかのように……、……。

俺はテーブルの側に行き、トイレへ消えて行ったゆきが残していったその箱が何なのか、確認する。
箱に書いてあった名称は……。

妊娠、検査キットーー……?

ようやくそれが何なのか知り、俺はすぐにゆきを追い駆けようとした。
が、すぐに思い留まり、途中で足を止めた俺は……待つ事にした。
気持ちを落ち着けて、戻って来たゆきを自分がどう受け止めるのか……。どう受け止めたいのか、考える事にしたんだ。

……
…………。
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