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第20章(3)紫夕side
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…………少しして、そっと、目を開けた。
戻って、きたーー……?
俺の瞳に映るのは、さっきまでの光景ではなく今借りて住んでいるコテージ内だった。
しかし、何処か違和感のある様子に俺は辺りを見渡す。
明るいコテージ内。
確か、自分が斬月に「親父の想いを教えてほしい」と頼んだのは深夜だった。あの時、電気を点けていたとは言え、コテージ内はこれ程までに明るくはなかった筈だ。
でも、
窓から射し込む、光が見えるーー……?
間違いなく、今、俺が居るこのコテージ内は昼間。
斬月に過去を見せてもらっている間に、夜が明けたのか?と一瞬頭をよぎった。
ーー……けど。
「っ、大丈夫……?!」
!!ーー……え、っ?
その声に、俺は耳を疑ってバッと玄関の方を見た。
何故ならその声の主は、今、この場所に居ない筈の人。自分が傷付けて、行方をくらましてしまった、愛おしい人……。
っ、雪……?!
長い白髪を揺らす背中。
思わず心の中で名を呼んだ俺の瞳に映るのは、間違いなく雪。
玄関の扉を開けて外へ駆け出して行く、雪の姿だった。
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