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第20章(3)紫夕side
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しおりを挟む守護神を離れてからの事。
雪の秘密。倒れた雪を救う為に、自分がしてきた事。
その中で風磨と再会し、敵対した事。
雪が目覚め、暫く二人で生活し、旅をしていたが……今、一緒に居ない事。
そして。
自分が親父の本当の息子ではなかった事ーー……。
マリィはただ、「うん。うん」って……。まるで、母親が幼い子供をあやすかのように聞いてくれた。
哀しみや後悔や絶望……。そんな真っ黒な感情ばかりを吐く俺を受け止めて、包み込んでくれた。
一つ一つ吐き出す度に、俺の心に溜まっていた何かが、マリィに受け止められて消えて行くように感じる。
「マリィの良さ、紫夕にもようやく分かった?」
この光景を見た和希は、きっと俺に向かってそう言っているだろう。
今なら素直に頷けるよ。
お前の選んだ人は、これ以上ない最高の人だ、って……。
そして、俺も言うんだ。
「俺も見付けたよ、本当の恋。
自分にとってこれ以上ない、最高の人生のパートナーを見付けた」……って。
和希の、他人の幸せをまるで自分の事のように喜ぶ笑顔が、俺の中でいっぱいに広がった。
「今度紹介してよ?……ねっ?約束!」
そんな和希に、「ああ。約束だ!」って……。俺は心の中で、差し出された小指に自分の小指を結んで、微笑った。
……
…………。
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