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第20章(2)マリィside
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しおりを挟む今なら分かるの。
雪ちゃんは和希に似てる。見た目からは想像出来ない程の強さを持っていて、優しさを真っ直ぐな勇気に変えられる子。
そして、アタシと紫夕ちゃんが似ているの……。
強そうに見えるのは見た目だけで、自信なんて全くなくて……。本当は嫌われる事が何よりも怖くて、孤独に怯えて、自分が傷付く事を恐れてる。
「……。
ねぇ、和希。紫夕ちゃんは、何処に行っちゃったのかしら……?」
そう問い掛けて、アタシは手を合わせるとそっと目を閉じた。
守護神本部での最後の戦いで、雪ちゃんが倒れ……。もう、手の施しようもない、と医師から告げられた紫夕ちゃんは、植物状態の雪ちゃんを連れて姿を消した。
その後、スノーフォールの討伐の際に杏華ちゃん達が紫夕ちゃんに会ったと聞かされた。
橘の息子である響夜。突然、守護神を辞めた風磨ちゃんと一緒だったとか……。
杏華ちゃんを傷付けられた事。
人型魔物の目撃情報で出動した際に雪ちゃんを見かけたらしい海斗ちゃんは、怒りと困惑で今もかなり荒れてる。
それは、そうよね。何も話してもらえず、聞かせてもらえなかったら、自分の目の前で起こった事で判断するしかないもの……。
でも、アタシは聞きたい。
真実を紫夕ちゃんと雪ちゃんの口から、聞きたい。
今度こそ恐れず真っ直ぐに、相手を受け入れるの。
そんな想いで、和希に祈った瞬間だった。
「ーー……っ、……マリィ?」
「!!ーー……紫夕、ちゃん?」
名前を呼ばれて視線を向けると、そこに立っていたのは間違いなく紫夕ちゃん。
紫夕ちゃんと瞳が重なった時。確かにアタシの心の中に、「頑張れ」って声が聴こえた。
……
…………。
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