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第19章(5)響夜side
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しおりを挟む「親父の事は僕がなんとかする。だから、お前も手を貸せ」
「!……え?」
「サクヤと子供を助けられる方法を、"お前のやり方"で見付けて力を貸せ。
……言ってる意味、分かるよな?」
サクヤを護る、と言っても、僕一人では出来る事に限りがある。
サクヤの身体の事や、ましてや、その胎内にいる赤ん坊を助ける事も産ませる事も自分には出来ない。
だから、その役目は朝日に託す。
朝日なら必ず、僕と同じ想いだと信じて……。
「ただし、サクヤも子供も紫夕さんには返さない。
子供は、僕の子供として育てる。……いいよな?」
「……」
朝日は、暫く僕と見つめ合ってて……目を逸らした。
けど、拳をギュッと握り締めるのが目に映って、僕は奴が自分の中で何かを決意したのだと悟る。
そんな朝日に、僕は言った。
「でも、僕に手を貸すなら……そうだな。子供が無事に産まれた時、抱っこさせてやるよ。お祖父ちゃん」
そう告げて……。
僕は再び歩き出すと、親父の元に向かった。
僕の中でも、何かが大きく変わっていた。
親父に示された人生ばかりを歩いて来た僕が、初めて自分の意志で歩き出した。
それがどんな結末を迎えるのか、なんとなく予想はついていたけど……。僕はこの時、ほんの少しだけ人になれた気がしたんだ。
……
…………。
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