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第19章(1)響夜side
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しおりを挟む「言うつもりもないし、ハッキリ言って興味ない。
ただ、気を付けないとサクヤだってすぐに気付くぜ?」
「……。
そう、だろうね……。以前、記憶を失っている幼い状態の時に言われたよ。
「しゆーとあさひセンセーにおいがにてる」って……。幸い、サク君と二人きりの時だったけど」
朝日はそう呟くように言うと、棚の上の写真に再び目を向けた。
その瞳や横顔は切なさを含んでいて、何やら複雑な想いや事情がありそうだが……。僕には、そんな事はどうでもよかった。
だから、言った。
「僕が護るから」
「!……え?」
「サクヤは僕が護る。紫夕さんには渡さないよ」
「っ、響夜君?君……ッ」
その言葉に朝日は何か言いた気だったけど、僕の行動を見てか、驚いたように言葉を止めた。
僕がベッド傍の枕元で屈むと、サクヤの前髪を撫で上げて、その額にそっと口付けたからだ。
……傍に、居られたらいい。
愛してほしい、なんて言わない。
お前の傍に居られる時間を、僕は望むーー。
僕が欲しいのはただ一つ。
あの日の、約束の後にある筈だった時間だ。
強くなって、サクラとサクヤを護る約束。
そして、もう離れず、ずっと一緒に居る。
その為に、僕は強く大きくなって、今日まで生きてきたんだ。
だから、もう離したりしないーー……。
「親父の"例の計画"に、僕は乗る事にしたから」
「!っ……」
「だから、よろしくね?朝日先生」
サクヤに触れたままニヤリと笑って横目で見ると、朝日は"例の計画"を察したようにハッとして……俯いた。
このまま、手に入ると思ってた。
まさか、もうすでにサクヤの身体に変化が起きている事を知らなかった僕は……。ずっと傍に居られると、思ったんだ。
……
…………。
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