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第18章(4)雪side
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…………。
……そして。
吐き気と涙が収まると、響夜はオレの汚れた上着のパーカーを脱がせてくれて……。抱き上げると、ベッドに寝かせて、布団を掛けてくれた。
「少し寝てろ。後で医者が来るから」
「……。うん」
重い頭と身体。
泣き過ぎて、睡眠不足で、疲労は限界だった。すぐに寝たい。
けど、怖いーー……。
眠って、独りになってしまうのが怖かった。
そんな気持ちが表れて、掛け布団を握る手に知らず知らず力が入っていた。
すると、オレのそんな些細な行動を見逃さなかったかのように……。響夜は傍で屈むと、オレの頭をそっと撫でながら言った。
「大丈夫だ、傍にいる」
優しい声。
その言葉に、嘘はカケラも感じられなかった。
「約束するから、安心しろ」
暖かい、優しい手の温もり。
すごく安心出来て、身体と心の強張りが解けて……。自然と瞼が閉じて、オレはゆっくり眠りに落ちて行く。
オレ、この手の温もりを……知ってるーー?
意識が途切れる寸前に、そう思った。
母さんの優しい記憶と一緒に、ずっとずっと昔に、オレはこの温もりを感じていた気がした。
……
…………。
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